LGBTQの同僚のため、Qとは何か?知識をアップデートしておこう
LGBTという言葉が社会に浸透してきた昨今、その概念は日々進化し続けています。
その過程の中で、LGBTのどのカテゴリーにも属さない性の違いを訴える人たちのため、次々に新しい概念が追加されています。
LGBTは、今ではLGBTQと表記されるのが一般的になり、実はもっともっと細分化しています。
海外で働いている人にとっては、会社の同僚がLGBTQとしてカミングアウトしていても全然不思議ではありません。そうした性の在り方の違いが差別されるものではなく、尊重されるべきものという環境にあって、あなた自身も無関心ではいられません。
この章では、2020年から2021年にかけて、今現在のLGBTQの認識を表す言葉について知識をアップデートしたいと思います。
あなたの周りにLGBTQの同僚がいる可能性は高いので、同じ目線かつ最新の理解で接する事ができれば良好な関係を築けるでしょう。
LGBTQのQとは?
2020年から2021年にかけて、もはやLGBTでは共感と理解度が足りません。
「LGBTQ」や「LGBTQIA+」といった言葉を耳にした経験はないでしょうか?
これまでのLGBTとは、
- L — Lesbian(女性の同性愛者と性自認している人)
- G — Gay(男性の同性愛者と性自認している人)
- B — Bisexual(男性も女性も愛せる人)
- T — Transgender(身体的性別と異なる性自認している人)
というカテゴリーの下で、認識されていたと思います。
しかし、よく見ればどれも男性か女性という性別に基づいていますが、世界には性別ではくくれない人々もいる事が分かってきました。
LGBTという言葉がより頻繁に公に登場するようになった流れの中で、これまでは自分の性について「何かおかしい…」と漠然と感じていた人々が、より具体的に考えるようになったのですね。
そして考えれば考えるほど、自分はLGBTのどこにも属さないのではないかと疑い、それをも肯定してカミングアウトした結果、
- 自分自身を男とも女とも性自認できない
- 男にも女にもというよりは誰にも性的な感情を抱けない
と結論付けるしかない人たちもいたのです。
前者であれば、男という性認識が無いのに男性だけを好きになる自分はゲイとくくれるのだろうか?という悩みが発生します。
後者においては、恋愛感情が生まれないので判断の基準すら無い状態です。
自分自身の性の定義が身体的自認と精神的自認で分かれているだけでも複雑なのに、さらに対象の性も加わると、もはやLGBTの4つではくくれなくなってもおかしくはありません。
そこで、より細分化されたマイノリティの人たちも尊重するため、新たな認識は認識できた通りにそのままを認識しようとする動きが加速しました。
- Q — Questioning(自分の性別を認識できない、探している、決めていない人)
そして実はこのQにはもう一つの意味が含まれているという説もあります。
それは”Queer“という言葉です。
起源は同性愛者への侮蔑語であり、「変態」や「風変わりな」という意味で使われていましたが、差別を受けていた当事者たちが「そうですが、何か?」と開き直った結果、1990年代以降は性的マイノリティを包括的に肯定する意味で使われるようになったそうです。
このクエスチョニングとクィアの両方の意味のQを加えて、LGBTは今やLGBTQになったのです。
LGBTの最新の認識はLGBTQ、いやLGBTQIA+
LGBTにQが加えられた流れは、そこで止まるはずがありません。
なぜならマイノリティの中でさらなる理解の細分化が進んだからです。
次に言葉として認識されてきたのが、「LGBTQIA+」です。「IA+」と増えています。
- I — Inter-sex(身体的に男性でもない、女性でもない、その間と定義される人)
- A — Asexual(無性愛とも呼ばれ、誰に対しても性的な愛情・欲求を抱かない人)
- + — まだ名前が付けられていない多様性を表す「+」
男性にも女性にも完全に一致しない身体的構造を持つ状態の”Inter-sex”は、精神的に男性である、女性であるという性の自認がある場合に、「Inter = 中間」という意味では自分を現していないと否定される傾向もあります。その場合は、性分化疾患という意味の”DSD“と呼ばれるようです。
「+」の人たち
最後に、より細分化された人たちも紹介します。
- X gender — 男女のどちらでもないと決めた、または揺れ動いている人
- Pansexual — あらゆる性自認の人を愛する事ができる人
- 2 spirited — 男性と女性の間で性の自認が行き来しているアメリカ先住民
- Polygamous — 複数人と平和的に同時に恋愛関係を結ぶ人
- Same Gender Loving — LGBTは白人が使う言葉で黒人が阻害されていると感じたアフリカ系アメリカ人が独自に定義した黒人同性愛者コミュニティ
LGBTQを取りまく環境
では、こうした言葉が認識されてきているという現状ですが、世間の認知度の実際のところはどうなのでしょうか?
電通ダイバーシティ・ラボが2019年1月にリリースした「LGBT調査2018」の結果の要点を確認してみます。なお、この調査には実質クエスチョニングも含まれているので「LGBTQ調査」と言えます。
電通ダイバーシティ・ラボは、ダイバーシティとインクルージョン領域に対応する専門組織です。2018年10月に全国の20~59歳の個人60,000名を対象に、LGBT層に関する広範な調査を行った結果、次の事が分かりました。
- LGBT層に該当する人は8.9%、LGBTという言葉の浸透率は68.5%
8.9%という数字を多いと思うでしょうか?少ないと思うでしょうか?
約7割の人々がLGBTという言葉を知っています。
こうした現状の中、当のLGBTの人々は職場の上司や同僚へのカミングアウトについては、半数が抵抗があると回答しています。会社にLGBTを擁護する制度が無い事も原因の一つです。
多くのLGBT先進国ではすでに認められている同性婚について、この調査では78.4%の人が賛成しています。男性よりは女性、年配者よりは若年層の方が高いのはうなずける結果です。
結論~みんな違ってみんないい~
自分自身の過去のLGBT層に属する友人たちとの出会いと交流を通して、LGBTという言葉を分かった気でいましたが、ここまで多様性が進んでいるとは思いませんでした。
今までもこれからも、名前がついていなかった多様性の一つに名前が与えられていくでしょう。若年層に理解が高いという事は、これからの未来の中でLGBT層の権利や待遇はより良くなっていくのではないかと期待を抱けます。
マイノリティが、他とは違うという理由だけで迫害されたり差別を受けたりする未来より、それぞれがお互いを尊重し合って認め合える世界になる事を祈るばかりです。
人種的なダイバーシティにも問題を定義している章があります。お時間があれば是非!