海外での仕事として日本人におすすめの職種とは?前編~移住編~
世界が小さくなったと感じます。
それは移動手段が便利になった事もありますし、情報デバイスの進歩によりコミュニケーションの距離が縮まった面もありますし、グローバル化の進行により外国人との接触機会が増大した効果もあるでしょう。
垣根さえ低くなれば、夢と希望を胸に海外で活躍してみたいという元々あった気持ちを抑えられなくなっても不思議ではありません。
早速、日本人が海外で活躍するのに、どのような仕事が選びやすいか、弥助の経験を多めに交えながらまとめてみたいと思います。
しかし、その前に一つだけ問題があります。それは、海外に長期間滞在するにはビザが必要だという事実です。
そこで、既にその国の永住権や、後に永住に繋げられる可能性のあるビジネスビザがある場合と、働けはするもののワーキングホリデーなどの期間限定のビザしかない場合と、それぞれ分けて考えなければなりません。
この章ではまず、留学卒業直後や、永住ビザやビジネスビザを持っていて本格的に移住を考えている場合に、どのような選択肢が考えられるか?について、具体的に示唆してみたいと思います。
現地など大学卒業直後の場合
基本的にどの国であっても、国内に優秀な人材を抱えて、その国の発展の為に活用したいと考えています。ですので、留学生が優秀であれば、卒業してからもその国の経済の中で活躍して欲しいという気持ちがあります。
留学している先の国によっても異なりますが、大体の国では留学生が大学を卒業した時に、何年間か現地の企業で働けるビザを出してくれます。
もちろん現地企業のニーズもありますので、どの専攻でもチャンスが得られるとは限りませんが、以下企業側の需要が継続している職種に絞りました。
アカウンタント(会計士)
これまでは、おそらく一番人気であっただろう留学専攻はアカウンタント(会計士)でした。
理由は一つで、永住権へと直結しやすかったからです。
将来の永住ビザ取得を目指して留学した学生の多くはこの学部を希望し、卒業後に現地企業でアカウンタントとして雇われて数年を過ごす事で、永住ビザ申請を行う権利を行使するまでが一連の流れでした。
おそらくこの道は完全には断たれていないので、まだ紹介できると思いますが、いずれAI(人工知能)に取って代わられる可能性が最も大きい職種の一つとして、既に現地のローカルアカウンタント達が転職に動き始めています。
あと数年で無理になるかもしれません。
教師
現地の教員資格を得る事で、公立・私立の学校で教師として働く事が出来ます。
この道は、相当の英語力またはバイリンガルスキルが求められるので、実際にポジションを得るまでは本当に大変だと思います。
しかし、弥助の経験上、ローカルの学生と何の差異も無く大学の課程を履修し、現地の高校に採用された女の子と、同じく小学校に採用された女の子を二人知っています。二人とも並外れた努力家でしたし、本当に感心するほど勉強していました。
その結果、海外で先生になって永住権も取得し、ずっと海外で暮らすという夢を叶えたので頭が下がるばかりです。
日本の学校では、過酷な労働の実態とそれに見合わない安い給料のせいで先生になりたいという良質な人材が不足しているようですね。
朝早く出勤し、昼休みもろくに取れない状態で授業をきっちりやり、放課後は部活の顧問として駆り出され、それが終わってから授業の準備や雑務まで何て尋常な働き方ではありません。
近年ではモンスターペアレンツ問題など、教師への尊敬が失われたどころか、クレームの矢面になってしまっていますよね。誰がなりたがるでしょう…。
しかし対照的に海外の先生は、授業さえすればいいので、心身ともに余裕がありますから、常にいいコンディションで笑顔で働ける上に、生徒と保護者から尊敬や感謝されるのですから、全然違います。
先生としての理想の働き方が出来ると思うので、やりがいもあるでしょう。日本は少子化が進行中ですが、出生率がまだまだ伸びている国も少なくないので、教師需要も安泰です。
日本語教師
この資格は大学卒業でなくても取れる場合も多く、上手くいけばその資格を元に、現地の日本語も教える学校や、補習校など日本語を習わせたい保護者のいる地域で職を得られるかもしれません。
ただ教師と異なる点は、永住ビザには繋がりにくいところです。
この差は大きいのですが、現地校に勤務出来てそこで気に入られれば、もしかしたら道が開けるかもしれないという感じです。
シェフ
この職種も大学でなくてもよく、いわゆる専門学校的な卒業資格で実際に現地のレストランなどに雇われて働く事ができます。
この職種も大体1~2年で卒業でき、とても需要がある上、雇われた後数年働く事で永住ビザの申請に繋げられるという利点において、アカウンタントと共に人気のある道筋です。
もちろんキッチンの世界は海外でも上下関係が意外と厳しく、立ちっぱなしの長時間労働が基本になるので、とても楽な仕事ではありませんが、そういう困難な環境の中で逞しさも身に着け、数年の我慢で永住権まで取得できる可能性があるのなら、頑張る人が多くても不思議ではないですね。
ITエンジニア
今現在、そして今後需要が継続されるであろう職種の一つがITエンジニアです。
大学で専攻したプログラミングやシステム構築、ネットワーク構築といったソフト・ハード両面の需要は、今後も高い位置で推移するでしょう。
一つ懸念されるのは、仕事の内容がリモート化しやすい為、コロナ禍以後の働き方の変化が劇的に起こった場合、賃金が安い国に住むエンジニアに外注される可能性も高くなるであろうという事です。
せっかく費用をかけて大学を卒業したのに、人件費削減の名目でその国の労働者としては雇ってもらえなくなるリスクをはらんだ、最もグローバル化の影響を受けやすい職種ではありますが、現時点ではベストな選択の一つではないでしょうか?
現地企業からビジネスビザをサポートしてもらえる場合
他と比べてハードルが高いカテゴリーですが、例えば学生ビザやワーキングホリデービザで滞在中にアルバイトした先で気に入られ、「ビジネスビザをだしてあげるから残って働いて欲しい」と言われる場合が想定されます。
ただ、どうしても隷属的な関係になり、こっちはビザサポートしているのだからという理由を押し付けられ、過剰な労働を強いられる話もたくさん聞きました。
ビザの為に我慢しながらその仕打ちに耐え、ようやく永住ビザが申請できるようになった時に、あっさりと退職したとしても致し方なく、長い目で見ると誰も得をしないケースも多く見られますが、職種に関してはレストランビジネスを筆頭に、需要さえあればどんな職種でもOKです。
既に永住ビザを持っている場合
上記の経験を既に経てきた結果、既に永住ビザを取得している場合は、もう可能性は現地の人々と基本同等になります。
ですので、英語を伴ったコミュニケーション力、その分野の専門知識と経験、知人の紹介などがあれば、全ての機会に応募する事が可能です。無限大です。
その中でも、敢えて日本人が得やすい職種に絞ると、以下の様な選択肢が挙げられます。
レストランビジネス
最近では、海外にも日本食関連のレストランがとても増えました。日本資本の海外進出も相次ぎ、もはや海外にいながら食べられない日本食は無いのではないかと思える程です。
ここに、海外永住者の経験や英語スキルが求められる機会は最も多いと思われます。
前述のシェフのポジションにしても、現地で資格を取った人ばかりではなく、日本で修業したシェフが独自の永住権と共に海外に渡り採用されるケースもあります。
また、レストランマネージャやスーパーバイザーなど、接客や経営部門を募集するレストランも少なくありません。ローカルのお客さんが多いでしょうから、英語での接客だけでなく、総合的なジェネラリストスキルが要求されるでしょう。
インバウンド
海外に現地支店を持つ旅行会社やイベント会社、ツアーガイドなど、日本から来るお客さんの需要に応える職種の需要も依然としてあります。
この場合、大変な部分が一つあって、日本からの要求と現地サプライヤーの習慣の違いとの間で板挟みになる事が多いのです。日本からは回答をせっつかれ、現地では担当者がとっくに帰宅なんていう事は日常茶飯事です。
今回のコロナ禍で、ロックダウンというリスクが顕在化しましたが、基本的には長く続けられる上、日本人としての強みを最も活かせる職種の一つだと思われます。
各種エージェント
基本的には日本人相手のビジネスですが、留学エージェントや引っ越しエージェント、語学学校などもこの範疇に入ります。
日本人特有のお客様意識なども考慮しながら、日本人の痒い所に手が届くサービスを提供できるという点において、日本人が採用される確率は高い職種だと思います。
コールセンター
企業が経費削減の為に人件費が安く日本人が多く滞在している国において、コールセンターを設置するケースも非常に多いので、就職のチャンスも多いでしょう。ただし、やはり人件費の低い国は東南アジアの国々に多く、地理的な制約はあるでしょうね。
エイジドケア(介護職)
日本人永住権取得者が多く従事する職種の一つにエイジドケアの分野があります。現地でフルタイムで働いている弥助の知り合い女性達の半分は、実はこの職種です。
日本人が礼儀正しく、丁寧で繊細なケアに向いているという事を知っている現地事業者が多いらしく、日本人は好んで採用される傾向があります。
結論~ビザさえあれば海外であっても仕事は選べる~
あなたに専門的な知識や資格があるのであれば、初めに言った通り、可能性は無限大です。
上で挙げた比較的得やすい職種以外にも、以下の職種のいずれにも最低一人ずつ位は、該当する知り合いがいましたので、間違いないですね。
- 弁護士
- 医師
- 看護師
- 会計士
- 大学教授
- MBAを求められるコンサルなどのビジネス
- 美容師
- 教師
- 保育士
- 整体師
問題は働く事が可能なビザがあるかどうかだけですね。
就労ビザに関する参照として、お時間があればこちらも是非!