海外では、握手一つでビジネスパーソンとしての第一印象が大きく変わる
海外で就職する際はもちろん、海外出張の時などにも、外国人と挨拶を交わす場合、握手をする機会があると思います。
ここでたかが握手と思わず、その役割と重要性をきちんと理解して実践できるかどうかは、特に第一印象において、あなたの優秀さや信頼といった印象に影響する大切なポイントに成り得ます。
握手に関する正しい知識と、その重要性を学ぶ事で、相手とのコミュニケーションが格段に良好になるのであれば、それを無視する手はないですよね。
この章では、握手に関する知識をアップデートする事で、あなたが優秀なビジネスパーソンであるという好印象を作り、更に相手の心理まで推測出来る様になるお手伝いが出来れば嬉しいです。
日本との挨拶の違い
まずは、日本人のビジネスパーソン同士で挨拶し合う場合と、外国人との場合とをそれぞれ簡単に比較する事で、違いを浮きだたせてみたいと思います。
日本での初対面の挨拶は、まずこういう流れでしょう。
- 場所によっては、上座、下座の位置関係を整える
- 顧客に対して、売り手や下請け側から適度な距離まで近寄る
- 「初めまして」と、お互いにお辞儀をする
- 売り手や下請け側から両手で名刺を差し出し、会社名と名前を名乗る
- 顧客側が名刺を受け取り、自らも名刺を渡して会社名と名前を名乗る
- 諸説あるが、この流れの中では相手の鼻と口の間を見るなど、直接目を見る事は失礼にあたるので出来るだけ避ける
- 二回目以降会う時は、名刺交換を省き、挨拶も「お世話になっております」と言いながらお辞儀し合う。
対して、外国人との挨拶は、このようになります。
- 地位の高い方が自ら歩み寄って握手をすると好感度が高いと考える人が多く、意外と地位の高い人から名前を名乗りながら握手を求めてくる
- お互い何と呼べば良いかなど、確認しあう
- この時点で名刺を渡す事はほとんどなく、握手をしながらしっかりと相手とのアイコンタクトを行う
- 着席して話始める時に改めて、もしくは連絡先の話になった時にそういえばという感じで名刺を渡す事はあるが、100%交換するとは限らない
- 二回目以降会う時は、初回に確認し合った呼び方で、「Hi, Sam. How are you?」等の挨拶と共に、アイコンタクトし合いながら握手を交わす
それぞれのスタイルを比べると、異なる部分は様々ありますね。中でも日本人同士ではしない握手の習慣については、しっかりと重要ポイントを把握する必要があります。
次の項から、外国人との挨拶の具体的な話に進みます。
意識すべき重要ポイントと、相手の心理
しっかりと相手の目を見る
部屋ならば入室した時点から、相手とのアイコンタクトは握手以上にとても重要なボディランゲージになります。
人間は何かしら後ろめたい事があったり、相手へのネガティブな感情がある場合に、相手の目をしっかりと見られないものです。
そういった懸念を相手に抱かせないように、笑顔でしっかりと相手の目を見る事は、信頼関係を構築する上では、非常に重要になります。
日本の挨拶では、相手の目は直接見ないようにという習慣があるので、自信に満ちた目で相手の目と合わせる事に抵抗があるかもしれませんが、必要な事です。
両手で握手しない
親愛の気持ちを表現する為に相手の手を両手で握る光景が、日本以外のアジア諸国出身者に多く見られます。
しかし、初対面の相手にこれはやり過ぎで、一般的には馴れ馴れしい行為になってしまって、せっかくの親愛の情が逆効果です。
政治家は、この両手でする握手を特にメディア向けによくやりますが、実際のビジネスの場では避けた方が賢明です。
ただ政治家同様、親密度をアピールする為に意図的に使われる事はあるかもしれません。
お辞儀しながら握手しない
日本人はやはり挨拶の習慣で、握手しながらもお辞儀してしまう人もいるかもしれません。
あまり多くは見かけませんが、やはり数回は実際に見た事あります。
あまりお勧めしない理由は、やはりお辞儀する事で相手とのアイコンタクトが切れてしまうのと、相手がお辞儀に慣れていないので戸惑ってしまう心理が懸念されます。
お辞儀する事にどれだけ相手への敬意が含まれているとしても、相手はそれを同じ感覚で共有していないので、出来ればお互いに自然に接する事が出来る方法を選びたいところです。
弱く握らない
様々な場面でよく見かける光景ですが、相手によっては握手の力が極端に弱い人がいます。
この時の心理状態は、あまり積極的に交流を望んでいない、あまり興味がない、もしくはあまりやる気がない、といったネガティブな傾向にあると考えられています。
英語では、”Fish hand“または”Dead fish handshake“と呼ばれています。
相手に対してネガティブな心理であるという事は明らかですから、もし自分が「Fish hand」で握手されたら、相手に対していい印象は持たないはずです。
そんな意図が全く無くとも、弱い握手をした事が原因で相手から不信感を持たれてしまうのはバカバカしいですよね。
笑顔で相手の目を真っすぐに見て、しっかりと相手の手を握るという理想形をもう一度思い返しましょう。
適切な握手の時間は?
外国人同士が握手をし、そのまま握手した状態で話し続けている光景も、実はよく見かけます。
しかし、よほど親しい間柄であればいつもの事でしょうが、初対面の時は特に握手している時間も適切な範囲に留めましょう。
一般的には、2~3秒だと言われていますし、経験的にもそれ位が最も多いです。
余り長く握り続けると、相手の心理的には「何だろう?」という不安にかられると思われますので、好意が裏目に出ないように気を付けましょう。
握手の手が湿っていたら
握手をした相手の手がもし湿っていたら、もちろんその人の体質にもよりますが、いくつか心理的な傾向を読み取れる事があります。
人間は不安や緊張を感じていたり、何かにドキドキしている場合や、隠し事をしている場合に手のひらに汗をかくそうです。
相手の手がかなり湿っているなと感じたら、これらの可能性から何か分かる事もあるかもしれませんね。
結論~第一印象は握手で決まる~
では、もう一度ビジネスパーソンが気を付けるべき、初対面の挨拶における重点ポイントをおさらいしておきましょう。
- しっかりと相手の目を見る
- 両手で握手しない
- お辞儀しながら握手しない
- 弱く握らない
- 適切な握手の時間は2~3秒で
- 握手の手が湿っていたら不安や緊張があるかもと予測する
日本の挨拶とは異なる点と比較して気を付けながら、基本的には相手と笑顔で目を合わせて握手をする事が、信頼関係を作っていく最短距離なので、常に意識する事が求められます。
でも、どちらかというとビジネスマナーを表面的に取り繕うよりも、人間対人間という図式で対等に自信を持って接する人が、結果的に周りからより多くの信頼を得ていると感じます。
この一人の人間として、という部分がポイントです!