海外での働き方の違い、「外国人は仕事のミスを謝らない」は本当か?

5-2. 海外で働く基礎知識!
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よく聞く『欧米では謝ったら負け』は本当なのか?

「海外は訴訟社会なので、特にビジネスにおいては謝ったら訴えられることに繋がるから絶対に謝ってはいけない。」

海外体験談が語られる時に頻繁に登場するのが、 この話ではないでしょうか?

では、実際に欧米人は謝るのか、謝らないのか?という問いに答えを出そうとすれば、おそらく個人の主観や経験にもよるので、どちらも正解というのが答えでしょう。

この章では、それでは面白くありませんので、弥助のこれまでの20年に渡る海外での就職・起業の実体験に基づき、「外国人は仕事のミスを謝るのか問題」についてしっかりと白黒つけたいと思います!

Caseに分けます

欧米人は仕事で犯したミスについて、または誤案内などによって損害を与えた場合において、謝るのか謝らないのかについての弥助の結論は以下の通りです。

Case1: 電話やメールにてカスタマーサービスに問い合わせる場合

100:0で謝りません

 

Case2: 現場でフェイストゥフェイスの状況のサービス業担当者

90:10で謝りません

 

Case3: いわゆる仕入先など、こちらがお金を払う関係性の企業担当者

50:50ですね。

 

Case4: 長期的にお互いが必要なビジネス上の繋がりのある相手

10:90で謝りません

 

Case5: こちらがお金を貰う側である、いわゆる相手がお客さんの立場の担当者

50:50ですね。

カスタマーセンターは地獄センター

では一つずつに言及していきましょう。まずはCase1の電話やメールで何かクレームを入れる場合ですが、20年以上海外で暮らしていてただの一度も謝られた事がありません

何度腹を立てて、最終的にマネージャと話をした事か…。

そしてそのマネージャにすら謝られた記憶はありません。きっと、弥助と同じ様に悔しい思いをした日本人は星の数ほどいるのではないでしょうか?

カスタマーサポートとは名ばかりで、

  • お客さんを大勢の消費者の中のたった一人としか思っていない
        
  • 雇用形態上、社内で重要なポジションにもいない
         
  • その会社への忠誠心もゼロ
          
  • 真剣に聞こうとか、申し訳ないとか、そういうそもそもの出発点にすら立っていない

言ってしまえば、サポートセンターのスタッフの本音はこうです。

  • 収入を得る為に仕方なくやってるだけ
         
  • だから、仕事増やすな
        
  • 面倒くさい
        
  • いちいち電話とかしてくんな!
         
  • 偉そうに!

そんな人たちが非を認めて、謝罪し、補償するという流れにするでしょうか?

答えは、否!です。

お客様は神様ですという日本の対応をスタンダードとして比較してしまうと、ただでさえお客さんとお店の人は対等である事が前提の欧米におけるカスタマーサービスは、日本での最低より低い、同じ土俵にすら立てないレベルです。

この常識の大きな違いに耐えられず、もうやっぱり日本で暮らしたいと帰国を選ぶ人もいる位です。

特に近年、企業がコールセンターをインドなどに移した結果、平気でお客さんである電話口の消費者に悪態をつきながら議論をふっかけてくる様にまでなったので、レベルは向上するどころか地の底に深く深く潜り続けています。

そしてもう一つ、インド訛りの英語でなくとも、欧米のカスタマーサービスが使う奥の手は何だと思いますか?これっておそらく究極ですよ。

理不尽さと戦い続ける消費者が最後に辿り着く仕打ちです。 

それはなんと『無視』です。

一度や二度ではない経験なので、おそらくスタッフマニュアルの中に書かれているのでしょう。

正論に負けてそれ以上反論できなくなった場合、相手はまず同じ結論をただ繰り返します

こっちは既に論破しているので、「だ・か・ら!」とその非を責め続けます。その結果、行きつくのが無視です。

考えられますか?電話口で相手が黙るのですよ⁉(メールなら返信が突然無くなります。)

いくら”Hello? Hello~?”と繰り返しても、何もレスポンスがなくなります。 でも相手の気配はあるんです。 ただ、こっちが根負けして自ら通話を終了するまで黙っているんです。

途中、小さくため息とかつかれた日には、もう自分のスマホを床に叩きつけたくなります。

そして諦めて一旦切ってすぐにかけ直し、○○に無視された。もう一度出してほしいと他のスタッフに言うと、「席を外した」とか「ついさっき帰った」などというウソと共に、その同僚をかばう始末です。

海外では、自分が消費者の立場で企業に立ち向かう場合には、こういう地獄が待っています。

サービス業では、目の前の相手は地獄スタッフ

次にやはり自分が消費者の立場で、ショップでまたはその企業の担当者と直接その場で顔を突き合わせた状態でクレームするCase2の場合ですが、よっぽど運が良くなければ電話やメールの対応とさほど変わりません。

例え100%相手のミスや過失でも、日本のように頭を下げて謝られる事はほぼ皆無です。

90:10で謝らないと言いましたが、その謝る10%はどういう人かというと、そのお店やビジネスのオーナーで、一部良心的なカスタマー愛を持っている人達ですね。

稀なケースですが、逆に言えば雇用されているスタッフはほぼ100%謝らないという事になります。

ではどういう応対になるかというと、申し訳ないという態度は一切なく、ちょっと切れ気味に怒った態度になる事が多いですね。

そのクレームが物の破損だった場合には、なぜかその物に対して怒ります。で、そのままお金を返して終わりです。まず謝りませんね。

例えば別なスタッフの過失や態度に関するクレームの場合はどうなると思いますか?物の不備の時のように、そのスタッフに対して怒ると思いますか?

そう思ったあなたはまだ甘いです!本当の地獄はこうです。

It’s not my fault.”

「私のせいじゃないわ」

もうこれは個人主義の弊害としか言いようが無いですね。チームの連帯責任なんて概念はこれっぽっちもありません。

具体例を挙げると、ある日空港のチェックインカウンターで突然今まで対応していたカウンターを閉めて、他のカウンターに行けという指示がありました。

列の最後尾にいた人ほど早く新しいカウンターに向かえる結果になった訳です。もうすぐ自分の番だったのにという大勢の人が、新たな列の最後尾に並ばされています。

当然文句を言いたくなりますよね!

実際に何人もの人がその航空会社のカスタマースタッフに結構強めに文句を言っていました。

しかし、まだ20代と思しきその男性スタッフは、最後まで“It’s not my fault.以外の言葉を発しませんでした。

もう地獄としか言いようが無いですが、海外で暮らすからにはそれを受け入れざるを得ないのです。

自分が変わるしかない

そんな地獄のカスタマーサービスですが、相手を変える事は不可能です。なら、自分の不快さを少しでも自分で軽減するしかありません。この20年で弥助が身に着けた生きる術は、この3つです。

  1. 初めから期待しない
  2. 諦める
  3. ユーモアで流す

何せ、初めて留学先のオーストラリアを訪れた初日から酷かったですから。

シドニーからの24時間の長距離バスの旅から解放されて降り立ったアデレードのバスターミナル。

スーツケースを両手に引きずってベンチに座る弥助は、学校の寮に連れていってくれるはずの学校の先生を待っていました。

1時間待っても来ないので、心配になって学校に電話すると信じられない言葉が返ってきました。

「あら、Joならもう帰っちゃったわ。電話番号教えるから直接かけてみて。」

結局、あるオージーアクセントのお陰で番号も聞き取れず(このエピソードはまた他の章で!)、諦めてその日はバックパッカーにチェックインし、翌日自力で寮まで行きました。

さて、数日後にいよいよ登校初日を迎え、クラスの担任として紹介されたのが、正にそのJoでした。

当時30代の典型的な明るく陽気なオージー女性教師は、弥助の「はじめまして!迎えに来るの忘れてた人!」という意地悪な初対面の挨拶に対し、何と言ったと思いますか?謝ってくれたでしょうか? 

答えは、何も言わずただ笑顔でウインクです…。

これに思わず爆笑してしまった弥助は、その後めでたく(?)Joのお気に入りの生徒になれた訳ですが。

とにかく、相手が変わらない以上は、こちらが受け入れるしかないんです。海外暮らしの試練と思うか、さらっと受け入れるかで、気持ちのゆとりは大分変ってきますよ。

ビジネスではお金を払う側も、もらう側も、基本対等が原則

Case3, 4, 5については、ほぼ同じ事になります。

BtoCではなく、ビジネスとビジネスのBtoBの場合は、とかく担当者によりますが、基本的には相手を尊重して、長期的にポジティブな関係を作って行こうという土台さえあれば、起きたミスに対して担当者が謝罪する事は珍しくありません

人間同士の事ですし、ビジネスの場では想定外の事も起きますので、割と一つ一つに拘泥せずに、謝るべき所は謝って補償もして、また先に進むというケースが多いと思います。

意外と日本でのビジネスとそれほど変わりませんが、お金を貰う側がへりくだる事は無いですね。

ホント担当者次第です。

結論~日本は特殊な国~

この章でお話しした事は、本当に欧米諸国を中心に世界中のどこでも普通に起こり得る事です。

「こっちは客だぞ!」という印籠が通用するのは、日本とあと少しのアジアの国においてのみであって、主流ではないのです。

では、海外で暮らしている限り、そういう理不尽にただただ耐えなければいけないのでしょうか?自分が消費者である限りは、Yesとしか言いようがありません。

しかし例えばCase2の場合で、もし自分がスタッフだったと仮定したら、きっとあなたは日本人として相手の立場に共感して何とか解決してあげようとするのではないでしょうか?

それがどれ程大きな意味を持つかお分かりになりますか?他の人が出来ない事を、あなたはいとも簡単にやってこなしてしまうのです

あなたの優れたカスタマーサービススキルの下には、たくさんの常連さんが出来る事でしょう。あなたがオーナーであれば商売繁盛に繋がりますし、スタッフとして実績が上がれば”Promotion”(昇進)も期待できます。

これは、日本人が持つ強みの一つなのです!

こうした英会話上達に直結するTipsをガッツリ学べるのが、コーチングスタイルの学習です。
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