挨拶代わりの失礼発言~日本の常識は海外の非常識
日本に一時帰国する度に感じるのが、挨拶のように交わされる「あれ?太ったんじゃない?」といった相手の外見に関するコメントの多さです。
本当に老若男女を問わずあちこちで感じますし、下手すれば「元気だった?」より先に聞いてくる人もいる位です。
これって、日本では当たり前過ぎるのでしょうか?そして皆、悪気無く言ってますよね?そして「太った?」「痩せた?」以外にも、最初にこんな発言してませんか?
- 「何か疲れてない?」
- 「見た目若くなった感じ!服装が若くなったね」
- 「年取ったねぇ、白髪増えたんじゃない?」
- 「小顔になった?」
- 「成長したねぇ、大人っぽくなったねぇ」
この章では、こうした悪気の無い外見に関する挨拶代わりのコメントが、海外の英語圏ではいかに失礼でタブーであるかを説明します。
特に逃げ場のない職場においては、一度ささいな一言が原因で関係性がこじれるような事があったらもったいないの一言です。
究極的に失礼な事の一つは、相手の外見をコメントする事
「あれ?何か太った?」
「久しぶりだね、ちょっと痩せたんじゃない?」
「ちょっとお前、生え際後退したんじゃないのか?」
「何か〇〇ちゃん、胸が成長してない?」
日本では、老若男女問わず、こうした会話が日常的になされていませんか?
最後の例は日本でも問題でしょうが、上の3つはきっと当たり前すぎて、自分が挨拶の様にそう言っている事にすら気付いていないのかもしれませんね。
ですが上の4つの例は、海外での感覚に慣れてしまった弥助が日本に帰国する度に気になる失礼な発言として、全部一緒に感じます。
「最後の例は日本でだって無しだよ」と思うのなら、海外では他の3つも同じ様に言われている感覚だと思ってください。
きっと、日本人同士では大丈夫なのでしょう。
言った方も言われた方も、言われ慣れてる(?)のかもしれませんが、「分かる?最近ちょっとそうなのよー?」と、軽く受け流し合っている感じが見て取れます。
しかし、その日本での常識を海外にまで持ち込むと大変な事になります。
あなたは一瞬で、とても失礼な人と認定されてしまい、その後はあまりその人と親しくなれないかもしれません。
海外旅行などに行っても分かると思いますが、いわゆる外国人の太り方は日本人の感覚からすると度を越していると感じても不思議ではありません。
日本人が常々、「太った?」「痩せた?」と気にし合っている幅を大きく超えているからです。
もう人種的にそうなのだとしか言いようが無いのですが、特に下半身の太り方は男女を問わず日本人にはあまりいない傾向があります。
100㎏を超えていそうな外国人に接し、顔だけとても小さくて、体の大きさに比例していないようなバランスを感じる事もあるでしょう。
しかし、旅行だけではなく、海外の生活に馴染んでみると、日本では”Outstanding”なサイズの男女でも、何の不都合も偏見も無く彼氏彼女がいる事が普通であると分かります。
めちゃめちゃ太っている女性とヒョロヒョロの男性が仲良く手をつないで歩いているような、そんな大げさすぎて漫画みたいな光景が当たり前なのです。
だからと言って、じゃあ気にしないなら言っても平気なんじゃないの?と問われれば、それは全然違います。
相手の外見を尊重したり、受け入れたりする事と、自分の外見を気にする事は全く別な問題だからです。
このブログの記事の中で、他にもたくさん同じ言及がなされると思いますが、特に英語圏の国々では、これでもかって位子供は親に褒められて育つ事が多いです。
その為、一般的にとてもプライドが高く、挫折に弱い面があります。詳しい話は他の章に譲りますが、相手から自分の外見の事をコメントされたら、一気にプライドが傷つきます。
今でこそ、日本でも様々な〇〇ハラスメントという概念が浸透してきていますが、元々の発信は海外英語圏の文化で生じているものです。
例え同性同士であっても、お互いの外観について無遠慮にコメントする事はほとんどないのに、ましてや男性が女性に「あれ?最近太った?」などというのは言語道断で、下手すればハラスメントで訴えられてもおかしくありません。
ブロンド至上主義?
同様の事は、髪の色についても言えます。
様々な人種が混在する英語圏の国では、体型、肌の色の他に、髪の色も様々です。
物語を知っている人には馴染みがある『赤毛のアン』(原題:Anne of Green Gables、Green Gablesはアンが住むことになるお家の名前ですが、一見赤毛なのに緑?って紛らわしいかもですね)
同級生のギルバートはアンの髪の色をからかった事で、その後かなり長い間アンから無視される事になりました。
問題になる根幹は、いわゆるブロンド至上主義みたいな価値観が欧米では今でも残っている事ですね。
不思議と言えば不思議なのですが、これだけ価値観の多様性を尊重する文化の中で、美人の条件がブロンドブルーアイズ(青い目の金髪)であるというステレオタイプが根強いのも面白い側面ですけどね。
なので、それを意識してか意識せずかは置いておいて、自分の髪を脱色してブロンドに染める人もまだ多くいます。
地毛なのか染めているのか分からない人に、
“You have beautiful blonde hair.”
というのは危うくないですか?
本当は違うのにという自尊心を密かに傷つける事になるかもしれませんし、逆に私の見た目ばかりで、中身はスカスカだって言いたいわけ?といらぬ勘繰りを受けるかもしれません。
とにかく、外見の事には触れない事が一番です。
また、白髪に関しても「最近、白髪増えてきてない?」なども、もちろん禁句です。
相手を思いやる言葉が逆効果?
これは英語の問題になるのかもしれませんが、相手を思いやって気にかけるような表現をする場合、例えば以下のような場合ですが、
“Hi. Oh, are you OK? You look tired today.”
この表現が相手を不快にさせてしまう事があります。
相手が留学生や、外国人と接するのに慣れている人なら気にしないかもしれませんが、大抵はやはり自分の外見をネガティブに指摘されたような、不快な感覚で捉えるそうです。
こちらが気遣った事に対して、相手が何だか不快な感じでプイっと行ってしまったら、「何だ?何だ?」って混乱しますよね?
しかし、こういうダイレクトに相手の外見を表現する事はリスクなのです。
では、代わりにどう言えばいいのか?と問われれば、相手の忙しさとかを気にしてあげればいいと思います。
実際は“How are you?”」でいいんですが、例えば
- “Have you been busy recently?”
- “Did you sleep well last night?”
と言った感じなら、本来の心配してくれてありがとうというリアクションになるはずです。
結論~外見には触れないのが無難~
太ったね?痩せたね?以外にも、日本人からすれば悪気の無い、むしろ相手を褒めるようなニュアンスで言った事で、相手を不快にさせる事例は他にもあります。
例えば、背の高い女性の中には180㎝以上とか、とても高い人もいます。
その人にそのまま”You are tall.”と言ってしまうと、もしかしたらその人は自分の背の高さにコンプレックスや、からかわれたような嫌な思い出を持っている場合もあります。
何かそういう秘めた感情に触れてしまった場合、日本人の事なかれ主義のようにはいけませんので、
“It’s none of your business.“「あなたには関係ない」
とピシャリと言われてしまう事があります。
弥助の留学時代のドイツ人女性教諭が、韓国人留学生に言われて正にそんな風に怒っていました。
繰り返しになりますが、とにかく外見の事は言及しない、を徹底した方がいいと思います。
コメント