日常使いのビジネス用語~海外でも通じるカタカナ英語はどれ?~
意識高い系などど揶揄されてしまう事もあるようですが、日本のビジネスの現場で使われるカタカナ英語って多いですよね?
長い時間をかけて浸透した言葉もあれば、最近のトレンドとして用いられている言葉もありますが、果たしてこれらは英語的に正しいのでしょうか?
そして、実際に海外のビジネスシーンでも、同じ様に使われているのでしょうか?
20年に及ぶ海外就労経験から、以下のカテゴリーに分けて実際に使われている英語なのか、カタカナ和製英語で通じないのか、はっきりさせますね。
- そもそも意味が違う、別な単語を使う
- 略しているので通じない
- 全然OK!海外でも実際に使われているのでシェア可能!
そもそも意味が違う、別な単語を使う
エビデンス
「その予測が成り立つエビデンスを示してください」
物事の根拠、証拠という意味で使われるエビデンスですが、海外のビジネスの場で同様に使われているのを聞いた事がありません。
“Proof“という名詞が同義ですが、名詞で使われるのではなく、
“You think you have something to prove?“
と、”prove“という動詞の形で使われていることが多いです。
ライバル(競合)
同業他社を表現する時に用いるライバル会社などの表現ですが、”rival“という単語自体はおそらく通じますが、やはり使われる言葉は”Competitor“「競合」でしょう。
デフォルト
「デモをする時は、パワポを使うのがデフォルトでしょう」
物事の標準という意味で用いられる”default“ですが、確かにプログラミング用語で「初期値」という意味があるので、ここから派生して一般的な意味でも使われているのだと思います。
しかし、海外のビジネスの場でこの単語が使われる時は、「債務不履行」という意味です。
例えば、ギリシャやアルゼンチン、レバノンなどの様に外貨建て国債の支払いが出来なくなった国の報道にも使われますし、企業が傾いて借金の返済が出来なくなった事を指しても使われています。
標準という意味なら、”standard, basic, classic”などが使われます。
アグレッシブ
「この市場をもっとアグレッシブに攻めるべきだ」
営業の会議などで、「積極的」にという意味合いで使われる”aggressive“です。
辞書に積極的という意味が載っているのできっと間違っていないのだと思いますが、ビジネスの現場で使われているのを聞いた事がありません。
辞書にもう一つ「攻撃的」という意味で載っているのですが、英会話の中ではこちらのニュアンスでしか使われません。
人物的に暴言を吐く人や、威圧的な言動をする人を”aggressive”と評します。
ですので、もしビジネスの現場で聞くとすれば、例えば顧客が怒ってクレームをつけてる様子を見て、”aggressive customer”等と言う事はあると思います。
では、代わりに”actively”などを使えばいいでしょうか?
間違ってはいませんが、やはりビジネスの現場ではあまり聞きません。
どちらかと言えば、動詞で表すことが多いでしょう。
“We should focus on this market much more to increase our sales.”
ノーリターン、NR(直帰する)
営業先から直帰しますという意味の「ノーリターン」、またはその略で”NR“と表記するこの言葉は、英語ではその意味では通じないと思います。
英語で”No return“が使われる場合は、「返品不可」という意味です。
文脈によっては、もう戻ってこないという意味で「死んでしまう」という意味もあるので注意が必要です。
では、英語ではどのように言えばよいでしょう?
「オフィスには帰らない」と言う場合が多いでしょう。
“I’m not going back to the office today.”
バッファ
「このプロジェクトのスケジュールは、少しバッファを持たせて組んでもらえる?」
日本のビジネス用語でよく使われる「バッファ」は「余裕」という意味で使われています。
確かにこれもコンピュータ用語で空いているデータ領域を表す意味があるので、ここから派生していると思いますが、英語での”Buffer“は「衝撃を緩和するもの」という意味です。
辞書には「余分な」という意味もありますが、例えば物の名詞と一緒に”buffer stock”などと言う事はあるかもしれませんが、時間に対して使う事例は聞いた事がありません。
「時間に余裕を持たせて」と言いたければ、”spare time“とか”extra time“を用いるでしょう。
略しているので通じない
言わずもがなだとは思いますが、日本人は何でも基本四文字で略して使う事が多いですよね?
三文字も含めて思いつくだけでも、
- プレゼン
- コンプラ
- ブレスト
- リスケ
- エスカレ
- オリエン
- オンスケ
- キャパ
- コスパ
- リストラ
もちろんこのままでは通じませんので注意が必要です。
また、日本と海外での習慣の違いも大きく、日本では普通でも海外ではNGという事例も多々あります!
全然OK!海外でも実際に使われている言葉
では逆に、日本のビジネスの現場で使われている用語が、海外でもそのままの意味で同様に通じるケースも挙げてみましょう。
- アジェンダ
- ローンチ
- コミット(名詞ではコミットメントで)
- イシュー
- インバウンドマーケティング
- クロージング
- コンセンサス
- MECEやロジックツリー等の用語
- レスポンス
- リテラシー
- フィードバック
- アカウンタビリティ
- フェーズ
- アサイン
- インタラクティブ
- ファシリテーション
- ウィンウィンリレーションシップ
- スキーム
- バイアス
逆に日本語でしか存在しないビジネス表現
日本のビジネスの現場で日常的に用いられる表現で、英語には存在しないものも多々あります。いくつか挙げてみましょう。
お疲れ様です。
日常的な挨拶というだけでなく、メールの文面の冒頭にもよく使われるこの日本語ですが、英語に該当するものはありませんし、言い合う文化もありません。
無理やり直訳すると、”You must be tired.”とかになっちゃいますよね?「何をもって疲れているなんて言うんだ?」と変な感じになっちゃいます。
英語では、単に”Hi.“, “Hello.“ですね。
(平素より)お世話になっております。
お客様宛のメールの冒頭にある日本語表現ですが、これも英語にはありません。
敢えて直訳したら”Thank you for taking care of me.”となりますでしょうか?相手からしたら、「何のこと?」ですね。使いません…。
英語では漠然とは言いませんね。何か特定の事柄に対しては”Thank you for ~”と言うでしょうが。
(何卒)よろしくお願いします。
逆にメールの文面の結びの日本語として頻出の表現ですが、これも英語にはありません。敢えて直訳も何と言っていいか分かりません…。
英語では、最後に自分の名前を記述する直前に添える、 これらの句が相当すると思います。
- “Best Regards,”
- “Kind Regards,“
- “Regards,“
海外のお店での会話で気が付くのは、お店の人とお客さんの関係性はイーブンであるということです。
日本ではお客様は神様ですといった勘違いが横行していますが、海外で同じ様な横柄な態度を客が取ったら、即座にトラブルになるでしょう!
結論~カタカナ英語は厄介~
上述してきたように、カタカナビジネス用語はそのまま実用的な英語として使われている言葉もあれば、意味合いが違っているので通じない、慣習的に英語では別な言葉を使うのが一般的など、通じたり通じなかったりするのがとても厄介です。
海外で働くとなった時、まずはこのスイッチを切り替えるトレーニングが必要になってくるでしょう。もちろん、略した英語は通じませんので、きちんと頭の中で英単語に変換しておく事も必須です。
頭の中にカタカナを浮かばせない事が、一番の方法です!
そして、これからスピーキングを伸ばしたいと思っている社会人の皆さん、学生の皆さんと、より実践的な英語を話すための道筋をシェアしたいと思います!
ここで紹介する3つのステップで、英語を実践的に話せるようになる近道にしてもらえたら嬉しいです!
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