海外の小学校のユニークな常識は、ある意味カルチャーショックです!
2020年から開始された日本の小学校での英語授業化。
想定される英語の授業では、子供達が海外に興味を持ち、実際に自分の意見や質問を英語で言えるための工夫がなされています。
しかし、それを教える先生全員が英語圏の小学校を視察したり、海外事情に精通する機会を得られたわけではないでしょう。
子供達から「海外では違うの?」と聞かれることがあるかもしれません。
この章では、実際に英語圏で子供を現地の小学校に通わせている弥助の経験を元に、
「日本と比較した場合、海外の小学校はどれほど違うのか?」
について、小学校での一日の流れを追いながら徹底的に解説します。
各トピックごとに重要な英単語も紹介しますので、この海外の知識とそれを説明するための単語のセットが、いつか先生の授業のお役に立てたらうれしいです。
このブログでは文科省の資料・動画資料を徹底研究し、その「世界で活躍できるグローバルな人材を育てる」という志と試みを、全面的に支持したいと思っています。
さまざまな関連するトピックについて、可能な限り分かりやすく徹底解説しましたので、もしお時間があればこちらから是非!
英語圏の小学校への入学準備
【一つ前提ですが、同じ英語圏の国々でもアメリカとイギリス、オーストラリアでは色々と異なる点もあるので、あくまでも詳細ではなく概念として捉えて頂き、ピンポイントでの正確な知識が必要な場合には、個別にお調べくださいね!】
まずは、英語圏の小学校へ入学するまでから見てみましょう。
公立小学校は学区制
「学区」=”school zone”
これは日本でも同じですよね。国や地域によって、複数の学区が該当してそこから選べる場合もあれば、住所から有無を言わさず決まってしまう場合もあります。
後者の場合は、子供を人気のある小学校に通わせたい親が、知り合いに住所を借りたりする場合もありますが、学校が割と厳しく取り締まっている印象が強いです。
そのため、実際にその学校のそばに引っ越すことすら珍しくありません。
通り一つを挟んで学区が区切られる場合、学区内の家の家賃が、通りの向かいの家の家賃と雲泥の差ということも起こり得ます。
制服着用は義務
「制服」=”school uniform”
アメリカのドラマなどを見ていると、学生たちはラフな格好で学校に通っているイメージかもしれません。
しかし実際は英国圏では特に、ほとんどの公立・私立の学校が生徒に制服着用を義務付けています。
ポロシャツや、ワンピース、ジャンパースカート、半ズボンや長ズボンなど、さまざまなバリエーションがありますが、その学校のスクールカラーで統一されていることが多いです。
意外ときっちりしており、服装が乱れているとちゃんと注意されます。
でも多国籍な国では特に、生まれてすぐにピアスをすることもあれば、髪のカラーもさまざまですので、制服以外の部分については急にゆるくなります。
というわけで、子供が小学校入学となれば、制服を購入する必要があります。
教科書がない
「プリント」=”paper”or “worksheet”
これは先生であれば特に、ちょっと驚くというか信じられないのでは?
でも本当なんです。
小学校6~7年間、特定の教科書は用いません。
ですので入学前に教科書の準備は必要ありません。
じゃあ教科書を使わずに何で授業をするのかといえば、カリキュラムは一応ありますので、先生ごとに授業で使うプリントを用意してきて、それを生徒に渡します。
しかも、後述しますが同じクラスの中に違う学年が混ざることもあるので、生徒の習熟度合に応じて複数のプリントを使い分けています。
ちなみに文房具は、学校に支払う費用に含まれているので、クラスで支給されます。自分で準備する必要がありません。
登下校は親の義務
「送り迎え」= “drop off” and “pick up”
日本の小学生は集団登校などのアレンジはあるものの、基本的には子供だけで登下校しますよね。
これが海外在住の親からすると、もう心配でたまらないのです。
弥助の子供も日本の小学校に2週間体験入学をしたことがありますが、マンガかと思うほどの尾行作戦を毎日敢行しました…。
英語圏では、スクールバスを利用するか、そうでなければ親が送迎するのが義務です。
学校のそばに駐車して一緒に校門をくぐる場合が多いので、登下校時の学校は生徒と保護者で毎日賑やかです。
また、忙しい親は決められた一画で子供だけを車から降ろし、学校に入るのを確認してからそのまま去るパターンもあります。これを
“kiss and go”
と言います。行ってきますのキスだけして去るという、なんともカワイイ英語表現です!
入学前に、どういう経路で送り迎えをするのか確認しておきましょう。
入学式、始業式、卒業式はない
「説明・オリエンテーション」= ”orientation”
これも日本の小学校の常識からすれば驚きですよね?
でも、本当です。大抵の小学校では入学式も始業式も、卒業式もありません。
日本の入学式は、フォーマルな装いの親子が校門の前で写真を撮り、校長先生が祝辞をのべる式典を執り行いますね。
英語圏では、そうした仰々しさはゼロです。
入学初日もその他の通常の一日と全く変わりません。
学校でやることと言えば、校則の説明や学校内のツアーなどを行うオリエンテーションのみです。
生徒が新しい学年に上がる新学期には、クラス発表はホリデーに入る前に既に行われていますので、新しいクラスに行って初日が始まるというだけの日です。
卒業式に関しても、小学校では特にありません。
むしろ保護者達が担任してくれた先生に感謝の気持ちのギフトを渡す光景が見られるくらいですね。
ちなみに、こうした学期終わりに保護者が先生にギフトを渡すことは珍しいことではありません!
この点も公務員である日本の先生が受け取ると賄賂扱いされてしまう事情とは大きく異なりますね。
新学期が始まる月は国ごとに異なる
「9月の新学期」= ”September intake”
日本は、新学期と言えば4月です。
英語圏であっても、小学校の始まる月はさまざまですが、9月に始まる国が多いですね。
- アメリカ
- イギリス
- カナダ
南半球のオーストラリアとニュージーランドは、1月末か2月の頭です。
英語圏の小学校の一日を追う
月曜日の朝
「朝礼」= ”assembly”
「生徒会長」= ”school captain”
では、この項からは子供達の一日の流れに沿って、英語圏の小学校の日本とは異なる常識について解説していきますね。
まず中には全くやらない学校もありますが、大抵の学校では月曜日の朝だけ朝礼を行って連絡事項を伝達します。
行事がある場合はその説明とか、生徒の中から生徒会長が選ばれたらその紹介とか、表彰されたり、何かいいことをした生徒がいればそれを褒めたり、内容はさまざまです。
主要な授業(英語・算数・第二外国語)
「上の学年のクラス」= ”upper grade class”
「第二外国語」= ”the second language”
日本の小学校で言えば、国語・算数・英語ですが、英語圏の小学校でメインに受ける授業は、英語、算数、第二外国語の3つです。
第二外国語の種類については、それぞれの学校の特色にもなっており、英語と日本語のバイリンガルの小学校もあります。
そしてもう一つ、英語圏の小学校は学年をまたがったクラス編成が多いことが特徴です。
1年生と2年生が一緒にされて、4つのクラスに分けられるとすると、
- 12A(One two Aと発音します)
- 12B
- 12C
- 12D
このようなクラスが出来上がります。
さらに、頭が良い子で既に上の学年のカリキュラムが妥当であると判断されれば、例えば算数に強い子が算数の授業の時だけ、34Aのクラスで授業を受けるという飛び級措置もあり得ます。
子供達は、こうした環境の中で学年を縦断した友人関係を構築していきます。
クラスの様子は自由な雰囲気
「これなぁに?の発表」= ”show and tell”
実際に授業が行われているクラスの様子を見てみると…、
まず生徒たちが座る場所は決まっていません。
日本の小学校のように縦横揃えて机が並んでいる感じではなく、ランダムに置かれたテーブルに自由に座っています。
それどころか、ワークをしている子供が寝そべりながらやりたいとなれば、床に転がってやっても構いません。
それがリラックスしながら効果的にできるのであれば気にされないのです。
机に座ることが目的ではなく、授業の内容を身に付けることが目的であると、はっきりしていますね。
そして各科目において、先生が生徒それぞれの能力をジャッジして同じレベルのグループを作り、それぞれに適した課題を与えるのですが、結局はグループをまたいで、分かる子が分からないで困っている子をヘルプします
得意な科目もあれば苦手な科目もありますし、いつも教える側の子もいれば、いつもヘルプされる子もいますよね。
でも子供たちはそういう全てを、当たり前として自主的に行動します。
本来は授業を受けるはずの子供が他の子に教えるのはいかがなものか?という疑問も生まれるかもしれませんが、人に教える事で理解を深めている側面が見て取れます。
また授業の内容も、先生の言う事を板書しながら聞くスタイルは少ないです。重要視されているのは以下のスキルです。
- 自分の意見は?
- それをどうしっかり伝えるか?
- 発表をちゃんと聞けるか?
- 正しい点と誤りの点について議論ができるか?
そのために低学年であれば、自分が好きなおもちゃやゲームについて人前で紹介する“show and tell“という発表の機会があます。とてもかわいいですよ!
また高学年になれば、資料も自分で準備して行うプレゼンテーションの課題がよく出されます。
おやつの時間がある
これも日本の先生たちが驚かれるところかもしれませんが、英語圏の小学校にはおやつの時間があります。
・”brain boost“ ‐‐‐ 授業に区切りのついた10:00前後の5~10分間、各自が持参したおやつやフルーツなど糖分を摂取して頭の回転を促す時間
・”snack time“ ‐‐‐ 朝食と昼食の合間の11:00~11:30くらいの30分、栄養補充兼休み時間
持ってくる種類もさまざまで、アジア人の子供はチョコなどの既製品のお菓子が多いですが、オージーの子は本当にヘルシーです。
イチゴやブドウなどのフルーツや、生のキュウリやニンジン、セロリ、またはゆでたブロッコリや枝豆などの野菜がポピュラーです。
先生も体にいい食材を推奨しており、あえて”healthy snack time“とも呼びます。
あとはクラッカーやクッキー、チーズ、マフィン、せんべい、グミなどなど。
基本何でもいいのですが、強いアナフィラキシーショックが懸念されるアレルギーリスクのあるものは持ち込み禁止です。
具体的にはピーナツバターを含む、ナッツ類ですね。
子供同士で「一口ちょうだい?」となることも想定し、初めから親が用意する時点で禁止にされています。
また、持ってきていいのはおやつだけではなく、おもちゃも持ってきて大丈夫です。
休み時間にポケモンカードなどをやっている子もいます。
ただし全て自己責任なので、もし無くしたり盗まれても、学校は「持ってきて管理できない自分が悪い」とピシャリと言って終わりです。
先生も一緒に探したり、盗んだ犯人を見つけようとしたり、クラス全体で道徳の授業をすることはまずありません。
その他の授業
体育 = ”PE (Physical Education)”
主要科目以外に、子供たちが大好きな授業があります。
- 音楽やダンス = ”Performing art”
- 体育 = ”PE (Physical Education)”
- 図工 = ”Art”
その科目が時間割にある曜日は、朝から楽しみにしているくらいですので、その学校でいかに素晴らしい担当教師を獲得できるかは重要です。
また体育に関しては、体操着というものはありません。
みんな普段着の私服のままです。
そもそも公立の大きな学校や私立校でない限り、体育館やプールが無い学校がほとんどですので、上履きも水着もありません。
給食はない
「お弁当」= ”lunch box”
「キーホルダー」= ”key chain”
基本的に小学校では給食はありません。
そこで、各自がランチを持参します。
制服と一緒に、校章入りの大きなカバンも購入するのですが、前述の通り教科書類はありません。
ですのでバッグはスッカスカで、ランチボックスとおやつしか入っていない子がほとんどです。
(なのに一昔前の携帯ストラップのように、キーホルダーの人形やらは、それらが一番重いのでは?というほどジャラジャラついています)
そして特徴的なのが、食べる時間の短さです。
もともと本当に簡単なサンドイッチばかりなのですが、ランチタイムは先生が休む時間と定義されており、生徒は5~10分後に教室から追い出されます。
それ以降は、先生は自分のプライベートを確保しつつ休憩することが可能です。先生もランチくらい一人になってゆっくり食べたいですよね。
放課後は?
「掃除」= ”cleaning up”
「学童保育」= ”after school program”
よく洋画で見るように、授業終了のベルが鳴ったと同時に生徒は帰宅して構いません。
ですので迎えに来た親は、授業終了時間のちょっと前から集まり始め、親同士でソーシャライズしています。
子供たちはもう教室には戻れません。
友達と少し校庭で遊んでいい?とお迎えの親にせがんでいる子もいれば、すぐに習い事へと向かっていく子もいるなど様々です。
仲のいい子同士で「遊ぶ約束」をして、親が遊ばせるアレンジをする”play date”と呼ばれるパターンもあります。
現地での親同士の交流についても解説した章はこちら!
そして一つ日本の小学校とは違うのが、掃除が無いということです。
日本の小学校に掃除の時間があること自体は、海外で評価が高い面もありますが、これはもう文化の違いですね。
また、仕事で授業が終わる時間までに子供を迎えに来られない親のために、日本でいう学童保育のようなものもあります。
この制度は”after school program“と言われていますが、英語圏のどの国でも費用が高いことで有名です。
都市部など環境によっても異なりますが、一カ月に4~5万円以上はかかります。
日本のような部活動はない
「部活」= ”activity”
基本的には、日本のように半強制的に学校で部活をすることがありません。これは小学校だけでなく高校まで同じです。
スポーツは、地域のスポーツチームに参加して行うものだからです。
厳密にはスポーツチームを持つ学校もありますが、入りたい生徒は費用を払って参加します。
そしてその費用で外部からコーチを雇うので、日本のように先生が部活の顧問を務めることはありません。
宿題について
弥助の目から見て、英語圏の小学校の教育は日本のそれと比べてかなり緩いと思います。
日々の宿題も出されますが、量も期限もゆるゆるです。
長い休暇の時には…、宿題は一切ありません。
両親も長い休暇をとりますので、長期休暇は旅行でしかできない体験をすること、サマーキャンプなどに参加することなどに費やす時間という定義です。
学力的に大丈夫か?と疑問に思うこともあるでしょう。しかし、英語圏の子供たちは高校と大学でものすごい量の勉強をします。
基本的な教育方針は、小学生の頃から自主性を高めることに重点を置いています。自ら勉強する基礎だけ作れれば、それを高校・大学の半端ない勉強量で挽回している感じですね。
どちらが正解という話ではなく、ここも文化・慣習の違いですね。
その他の英語圏小学校の特徴
先生を〇〇先生とは呼ばない
日本の小学校では(少なくとも先生の前では)、先生のことは〇〇先生と呼びますよね。
英語圏の小学生は先生を何と呼ぶでしょう?
先生の名前を山田太郎先生とすると、正解は “Mr. Yamada”です。
山田花子先生なら”Ms. Yamada“です。
小学校のおもしろいイベント
日本の小学校にも各種行事がありますが、英語圏の小学校のイベントと似ているものもあれば、独特なものもあります。
まず似ているものから言うと、
「遠足」= ”excurtion” or “field learning”
「学園祭」= ”school fete”
「演劇発表会」= ”school play”
次に英語圏に独特の行事ですが、一つ例を挙げると“Book fair”がありますね。
学校が本屋さんとコラボして、一週間くらい子供たちの読書への興味を刺激しながら、たくさんの本を保護者にねだって購入してもらいます。
その売り上げの一部が学校への寄付になります。
そしてその期間の目玉が、本の物語のキャラクターの仮装をして校庭を練り歩くイベントです。
「学校の資金集め」= ”fund raising”
「物語の登場人物への仮装パーティ」= ”Book parade”
先生が準備をする日
「生徒」= ”pupil”
英語圏の先生は授業をすることが仕事です。
ですので、日本の先生のように部活の顧問になる義務もなければ、雑用をすることもありません。
さらに授業の準備をするのも、放課後遅くまで残ってやらなければいけないような場合、またはコロナ禍で授業がオンラインになった時も、多大な準備が必要でした。
こんな場合でも、先生に残業させてまで準備させることはありません。代わりに学校を一日休みにして、先生が丸一日準備に使えるように配慮します。
その日の事を英語では、“pupil free day“と言います。
英国圏では生徒の事を”pupil”と言うのですが、「生徒がいない」=”pupil free”ということです。
まとめ
この章では、日本の小学校と英語圏の小学校の常識の違いを紹介してきました。
できるだけ日本の先生方や子供たちが驚くであろうトピックをまとめたつもりです。
これからの英語の授業の中で、子供たちに「海外の小学生はこうなんだってよ」と教えてあげて欲しいです。
- おやつ持って行っていいの!?
- 掃除しなくていいの!?
- 教科書ないの!?
- クラスで寝っ転がって勉強していいの!?
これらのトピックは、子供たちが「いいなぁー!!」の大合唱になることでしょう。
世界は広い、本当に大事なことは何なのかといった知識は、必ずグローバルに活躍できる人材を育てることでしょう!
他にも2020年に流行りました「鬼滅の刃」を上手に英語の授業に生かす取り組みについてまとめた章もありますので、お時間があれば是非!