コミュニケーションに最も必要なのは、相手となる友達の輪を広げること
2020年、小学校から英語教育が始まりました。
「ただの前倒しで、早い段階からの英語嫌いを増やすだけなんじゃないの!?」
という声も聞こえてきます。
その懸念も尤もかもしれませんが、一方で小学校から英語教育を導入した目的は、文部科学省によってこのように明確にされています。
英語でコミュニケーションが取れることを武器に、世界中でグローバルに活躍できる人材を育てる
以前は、中学校と高校で6年間も英語を学び、大学受験用に難しい読解などもできるのに、外国人とのコミュニケーションが全く取れない日本人がほとんどでした。
なぜなら、受験を中心としたテスト勉強はしてきたけど、英会話自体は全く習ってこなかったからです。
ですので、英語を話せる子供を育てるためのこうした方向転換は決して間違いではありません。
こちらの章で英語教育導入の目的について、徹底的に解説しています。お時間があればこちらも是非!
コミュニケーションを取るには相手が必要です。
この章では子供達が友達の輪を広げるために、友達を紹介する表現と知っておくべきマナーについて、英語圏で20年間暮らした経験を元に、そのやり方や常識に則って紹介します。
保護者や小学校の先生方にとって、コミュニケーションの第一歩を指導する大切なポイントとして参考になれば嬉しいです。
正しい英語を話す事は手段、自然に友達同士の輪を広げることが目的
正しい文法で英語を話せればもちろんそれにこしたことはありませんが、それに拘泥して間違いを怖れ、結果的に話す勇気が小さくなってしまうのでは、本来のコミュニケーションを図るという目的が損なわれてしまいます。
手段と目的が混同することは多岐に渡って起こり得る事ですよね。英語に関しても同じ懸念が強くあります。
そこでまずは子供達が間違いを怖れずに英語を話そうとするモチベーションを高めてあげましょう。
ちなみにこれを英語では”encourgae“「励ます」という動詞で表します!
コミュニケーションって、基本は以下のことの繰り返しですよね。
- 相手に自分の考えを伝える
- 相手の考えを聞く
- 互いに理解し合う
ですので最も大切なことは、常に相手を意識することであり、暗記した定型文を間違えずに言えれば良いという誤った目的を持たないようにすることです。
そのためには、コミュニケーションを楽しめるかどうかということになります。
- 相手に自分の考えが伝わった!
- 相手の言っていることが聞き取れた!
- お互いに理解し合えた!
こうした満足感や達成感を得られるように指導してあげれば、その後の好きになった時の子供たちの能力については言うまでもないですよね。
英語圏の子供たちが実際に楽しんでいる遊びについて、英語の名前や誘い方などを詳しく知りたい方は、こちらから!
友達を紹介しないことはとても”rude”「失礼な」こと!
まずは海外において、同じ空間にいるのにお互いを紹介しないことはとても”rude”「失礼な」ことであると、前提を共有しましょう。
日本では遠慮もあるし、初対面の人に話しかける馴れ馴れしさへの懸念もあって、誰かれ構わず紹介し合うことは少ないですが、英語圏の文化では全く逆です。
パーティなどの人が集まる所に呼ばれると、両方を知っている人がハブとなり、あちこちで紹介しあっている光景を目にします。
英語でコミュニケーションを図るということは、英語圏の人々と交流するということとほぼイコールです。
英語圏の多くの人々は、日本人のように英語が母国語ではない人の文法の間違いをほとんど気にしません。
正しい文法よりも、こうした英語圏の“common sense”「常識」を教えてあげることが重要です。
そこで、以下に会話の流れを追いながら、重要なポイントを紹介していきますね。
お互いを知っているか確認しよう!
基本的なシチュエーションは、「あなたとAさんBさんの3人がいて、双方を知っているあなたが、BさんにAさんを紹介する」という形です。
ここで、まずはAさんとBさんが互いに初対面かどうかを確認しますよね?その表現からみていきましょう。
“Have you met before?”
「二人は前に会ったことありますか?」
こうした表現から、紹介するための会話が始まるのが自然ですよね。
小学校ではまだ”have you“という完了形を説明する段階ではありませんので、もし混乱させたくなければ、以下のより簡単な表現で大丈夫です。
”Do you know him(her)?”
“Do you know each other?”
参考として、他にも同じような表現があるので念の為。
- “Hana, have you already met Taro?”「花、太郎にはもう会ってる?」
- ”You don’t know each other, do you?”「お互い知らないはずだよね?」
- “You already know Taro, right?.”「太郎のことはもう知っているんだよね?」
「こちらが~さんです」という表現
英語で人を紹介する時には、“This“を用いて「こちらが」という表現にします。
そしてここで一つ、英語圏の慣習があります。
相手の名前を先に呼び、アテンションを得てから紹介する
これはもう本当に慣習であり、みんなが無意識に自然に行っていることなのですが、コミュニケーションの大切な基本だと思います。
また、子供たちが暗記に走らずに、会話というコミュニケーションを体現している実感にもつながればいいなぁと思う大切なポイントです。
実際には、以下の表現が基本になります。
“Hana, this is Taro. Taro, this is Hana.”
「花、こちらが太郎です。太郎、こちらが花です。」
ポピュラーな英単語である“introduce”「紹介する」を使っても間違いではないのですが、20年の海外生活からの実感としては、フォーマルな場でしか聞いた事がありません。
“Hana, I would like to introduce you to Taro.”
“Hana, I want to introduce you to Taro.”
「花、あなたに太郎を紹介したいのですが」(”want”も同じ意味ですが、よりカジュアルです)
そして紹介する時にもう一つ大切なことは、「短くていいので、紹介する人物がどういう人なのかを付け足す」ということです。
- 社会人であれば「何をしている」人か(英語圏ではどこに勤めているかという会社名よりも、何をしているかという職種を紹介します)
- 自分の家族ならその関係性
- 友達なら、幼馴染ですとか、同じ学校の同級生ですとか
- その人の好きなことや物など
こうした付け足しは、会話の糸口にもなりますし、第一印象の理解を助ける情報として大切なことなのです。
このような呼びかけを重視して紹介するなど、しっかりとした会話の一環として練習させることは、将来実際にそういう英語圏の人たちと交わる時に、自然と身についた教養として役に立つはずです!
あくまでも参照用としてですが、もう少し応用的な表現も紹介しておきますね。
- “Hana, this is my brother, Taro.”「花、私の弟の太郎です」
- ”Hana, I want you to meet my friend, Taro.”「花、私の友達の太郎を紹介したんだけど」
- “Hana, this is Taro. He is in year 6.”「花、こちらは太郎です。彼は6年生です」
- “Hana, this is Taro. He is good at drawing Japanese manga!”「花、こちらは太郎です。彼は日本のマンガを描くのがとても上手なんです!」
一対多の場合
最後に、他のみんなは既に知っている中である集まりに一人だけ新しい人がいる場合、全員に対してその人を紹介するケースもありますよね。
そういう場合は、実は決まった紹介の仕方があります。
“Everyone, this is Hana, a new team member of us from today. Hana, this is everyone.”
「みんな、こちらは今日から新しいチームの一員になった花です。花、こちらは『みんな』です!」
英語圏で人を紹介する時のマナーとは
実際に英語圏の人々に人を紹介する場合には、日本人にとっても同じであるマナーもあれば、彼ら彼女らの独自のマナーもあります。
ぜひ、そうした文化の違いも子供たちに教えてあげましょう。
今はまだ理解することは難しいかもしれませんが、大人になるにつれて、自分たちの中で価値観の取捨選択を自ら行って欲しいと願います。
親戚を紹介しあう
基本ルールは、関係性の遠い人を立てるということですね。
例えば親戚の集まりなどであれば、遠方の数年に一度しか合わないおじさんに自分の配偶者を紹介する場合、先におじさんに対して紹介します。
“Uncle Jiro, this is my wife, Hana. She is from Hokkaido as same as you.”
「次郎おじさん、こちらは妻の花です。彼女はおじさんと同じ北海道出身ですよ」
ビジネスシーンにおいて
ビジネスの場では、社外であればお客さんなど外部の人を立てる、社内であれば上役を立てるという原則です。
上のおじさんの例も同じですが、基本的には先に紹介するということが相手を立てるということにつながります。
“Mr. James, this is our manager, Steve Smith. Steve, this is Mr. James. He is a vice president of Applesoft.”
「ジェームスさん、こちらは私たちの上司のスティーブ・スミスです。スティーブ、こちらはアップルソフト社の副社長、ジェームスさんです。」
“Steve, this is Josh from customer support team. Josh, this is Steve. He is a manager of our marketing section.”
「スティーブ、こちらはカスタマーサポートチームのジョッシュです。ジョッシュ、こちらはマーケティング部のマネージャーのスティーブです」
レディーファーストも重要
上の二つは、日本人の感覚からも共有しやすいと思いますが、英語圏ではもう一つ女性に男性を先に紹介するのがマナーです。
レディーファーストのできる紳士という計らいですね。
日本人にはない価値観だからというのは日本人の間だけにしておいた方が、英語圏で「失礼な人」にならない秘訣です。
それくらい、レディーファーストは英語圏に浸透しています。
前述の例を見ても、全部先に花に紹介していますよね?さまざまな形で、先に花に太郎を紹介していると思いますので、確認してみてくださいね。
ビジネスの場で上司が男性の場合、先に階級の低い女性を紹介すべきかどうかは、その場の雰囲気によります。
上司が割と階級を気にするタイプであれば、一方が女性でも地位の高い人を優先するほうがいいですが、もっとカジュアルな雰囲気であればレディファーストを優先させることもあります。
また、前述の次郎おじさんのように日本人の価値観を優先させたほうが良さそうなら、女性の妻を先におじさんに紹介するほうがいいのでしょう。
原則は大切にしつつ、柔軟に臨機応変にというのは世界中どこでも同じです。
また、英語圏の小学校の文化を知ることも、子供たちにとっては楽しいことです。
英語圏の小学校では日常の”play date”について解説した章があります。先生方の英語を教える際の参考になれば幸いです。
まとめ
この章では、英語圏でも通用するコミュニケーションに小学校からでも慣れておこうという趣旨から、友達などを相手に紹介する時のやり方と気をつけるべき点について紹介してきました。
- お互いが既に知っているかを確認する
- 「こちらは」という表現に”This is”を用いる
- 名前を呼んでアテンションを得てから紹介をはじめる
- 一対多で紹介する時は、一方を”Everyone”として紹介する
- 紹介する時のマナーとして、内外で言えば外の人、組織で言えば上役の人、レディーファーストで女性に対し、それぞれ先に紹介する
文科省が早期の英語教育導入を決めた目的が達せられ、子供たちがこうした実践的なコミュニケーションに慣れ親しんで、将来グローバルに活躍する日が来ることを願ってやみません。
小学校の英語教育に関しては、親御さんも実際に教える先生方も多大な興味・関心を持っていると思われます。
そこで、文科省の資料と動画を徹底的に調べて解説した章をいくつか作りました。
ものすごいボリュームの資料をできる限り分かりやすく理解できるようまとめましたが、元の量がすごいので、その解説にもかなりの情報量が含まれています。
もしお時間があれば是非!