【小学校の英語授業】文科省の資料300p以上を噛み砕いて徹底解説

3. 小学校英語授業で英会話上達可能?
この記事は約32分で読めます。

300分以上の動画資料からも補足し、先生と保護者のためにどこよりも分かりやすく解説

2020年からいよいよ小学校での本格的な英語教育が開始されました。

いくら勉強しても日本人は英語を話せないという学校教育への批判を受けてか、文部科学省は省内でかなりの時間と人材を投入して、小学校からの英語授業導入に取り組んだのだろうと推察されます。

  • 小学校の英語の科目化は中学校の英語授業の前倒しではなく、全く新しい科目の創出である
        
  • 小・中・高の全てを通しての取り組みである

と訴える姿勢にも表れています。

実際、どれ位深く考えているのか?

一例を見つけました。

小学校では英語の文法は習わないにも関わらず、動名詞という文法的に説明が必要な表現を用いてでも、”can”(できる)の代わりに”be good at -ing”(得意である)を使う指導を推奨しています。

その理由はなんと

『日本の子達は、レギュラーという確固たるステイタスがあるような場合でない限り”I can play soccer.”と言えない。

だったら「少しでも得意なものは?」と聞かれてようやく、”I am good at playing soccer.’と言える。

この消極性を考慮した

現場の実情などを考慮したのだと思いますが、弥助から見れば「そこ!?」と思う様なことまで考えられている事は伝わりました。

「子供はもっとたくましいよ、少し繊細すぎでは?」と思わずにいられませんが、実際にそこまで詳細に考えられている事は間違いありません。

そこで、そうした文部科学省の意図を読み解くため、作成された資料に目を通したのですが、とにかく言葉の硬さと冗長さが官僚言葉で、内容が全く頭に入ってきません。

小学校の英語教育についての実情を知るためには、その詳細を決定した大元である文部科学省の意図を知る必要があります。

それは、先生にとっても保護者にとっても、

どこに目指すべき山の頂上があって、そこへたどり着くための道筋についても知る事』だからです。

きっと同じように感じる先生や保護者のために、この章では小学校英語教育について関心があるだろう項目について、文科省の資料300ページ以上を読み込み、映像資料300分以上の視聴で理解を補足しながら、できる限りわかりやすい言葉で要約しました。

詳細を知りたいであろう項目については、リンクを貼った別な章でより詳しく解説するようにしてあります。

おそらく漠然としているであろう【小学校の英語教育】について、より詳しく把握できる機会になれば幸いです。

3,4年生の外国語活動の趣旨と要点

文科省資料の最初の10ページは「3, 4年生の外国語活動の導入の趣旨と要点」を説明してます。大切な情報を分かりやすくまとめれば、以下のたったこれだけだと思われます。

趣旨

  • これからの時代は、どんな仕事についても生涯英語が必要になる
       
  • 小・中・高を通して、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を学ぶ
       
  • 中学に進む時に、「聞く・話す」が「読む・書く」に効果的に生かされていない現状を改善する
       
  • 日本語と英語間の、発音と文構造が違う事への生徒の理解が弱い現状を改善する
        
  • 学年が上がるにつれ、英語の学習意欲が低下する傾向を改善する

要点

そこで、上記趣旨を踏まえた3,4年生の外国語活動の目標は、以下の3つの柱に基づきます。

  • 「知識及び技能」
    外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませるようにする。

    そのためには、実際に外国語を用いた言語活動を通して,言語や文化について体験的に理解を深め,日本語と外国語との音声の違い等に気付く。
         
  • 「思考力,判断力,表現力等」
    自分の考えや気持ちなどを英語で伝え合う力の素地を養う。
       
    そのためには、身近で簡単な事柄について 課題を設定し,コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,外国語で聞いたり話す事を通して、自分の意見を持つ。
         
  • 主体的に学習に取り組む態度」

つまり、主旨と要点から読み解くと「英語に初めて触れる段階であることを踏まえ」という点を重視し、まずは【聞くこと,話すこと(やり取り),話すこと(発表)】に慣れ親しみましょうという事です。

「できるようにしましょう」という表現は使われておらず、科目ではないため成績もつきませんから、学習した成果を計るより、英語を好きになり、苦手意識を持たせないようにする方針ですね。

文科省が説明する「外国語活動の目標」について、外国語活動と英語に分けて詳しく解説した章はこちらから参照可能です。お時間があれば是非!

学習指導の最重要ポイントとは?

学習指導の要点は、以下の2つにまとめられます。

  • 言語活動で扱う題材については,生徒たちが日本の文化と外国の文化を比較でき、それぞれに対する関心と理解を深められるような、キャッチ―で双方向性のあるものを使う
         
  • 外国語を初めて学習することに配慮し,簡単な語句や基本的な表現を用いて友達との関わりを大切にした体験的な言語活動を行う

両方で使われており、これ以降も何度も繰り返し強調されるのが

外国語を用いた言語活動を通して

という表現です。

文部科学省の直山木綿子氏が中心になって教員指導で推奨している小学校の英語教育全般、いや今後は中学校・高校に進んでも引き続き重視されるであろうキーワードです。

教員向けの指導に、何度も何度もこの部分の重要さが強調されています。

設定された最重要ポイントは、「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝えあう活動」を徹底的に意識するという事です。

これまでの英語教育の反省点が趣旨にも盛り込まれたように、文科省が過去との差別化を図るため、この点を教員に強く求めているのです。

質問に自分の意見が反映される回答が返ってくるかどうか?その答えを聞き手がきちんと受け止めているか?について、先生も生徒もより明確に意識しようという事です。

例えば、以下の質問は個人がそれぞれ自分の事を語るという意味で有意義としています。

  • 好きな色は何色か?
        
  • 好きな食べ物は何か?
        
  • 将来何になりたいか?

そして、聞いた側は、”I see.”「そうなんだ」と相槌を入れたり、”Thank you for sharing.”「教えてくれてありがとう」とお礼を言うなどして、あくまでも会話の形式を取らせるのが特徴です。

よって、反対に自分の気持ちとは関係ない以下のようなものは言語活動と定義しません。

  • 単なるダイアログの暗記
         
  • ゲームやチャントなど決まりに沿って行うもの
         
  • ”Repeat after me.”のような反復練習

確かにこれまでのいわゆる暗記重視の英語の授業とはアプローチが異なっており、全く新しい科目を創設したという文科省の想いに偽りはないように感じます。

【言語活動】に関して詳細に解説している章はこちらからご参照ください!

気になる外国語活動の具体的な内容は?

では、保護者や生徒が最も関心があるであろう「具体的に何をするのか?」という内容について、「知識及び技能」と「思考力,判断力,表現力等」に分けて説明されています。

「知識及び技能」

コミュニケーションに関する事項と,言語や文化に関する事項とで構成しています。色々と難しい表現が並んでいますが、大切と思われるのは以下の2つです。

  • 言語を用いて主体的にコミュニケーションを図ることの楽しさや大切さを知ること
        
  • 日本と外国の言語や文化について理解すること

まず前者の「英語でのコミュニケーションを楽しめるようになる」についてですが、自分が話したい事を英語やジェスチャーを使って相手に伝えられた時の満足感や達成感を感じる事で、

【相手と分かり合う事が楽しい事だと思える素地】

を作れるような内容にするという事です。

自分の気持ちや考えを相手に伝える練習、相手の発言を受け止める練習を通して、伝わった時や理解できた時の小さな成功体験をたくさん積み重ねましょうという感じです。

そして後者の「日本と違う言葉や文化がある事を知る」については以下の3つにブレークダウンします。

  • 英語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付く
         
  • 日本と外国との生活や習慣,行事などの違いを知り,世界には多様な考え方があることに気付く
          
  • 異なる文化をもつ人々との交流などを体験し,文化に対する理解を深める

一つ目の「言葉自体の違いを知る」については、まずは英語の音節やリズム、イントネーションといった耳から入ってくる情報に慣れさせるという点が特徴です。

3、4年生の時点では文法などは教えず、”milk”は「ミ・ル・ク」という日本語の3音節ではなく、英語では「ミゥ」と聞こえるように1音節である事に気付かせます。

また、日本語にはない”v”や”f”といった音を聞けたり発音できる練習も入ります。

二つ目の「日本人にとっては常識じゃない異文化について学ぶ」については、日本と外国を比べる事が大事になります。

そこで具体的に違いを知るためには、日本の文化も改めて知る必要があり、その上で遊びや食べ物といった自分の身の回りの事柄について外国と比べる内容を推奨しています。例えば、

【英語には「いただきます」に相当する言葉がないが、どのように食事を始めるのか?】

と疑問を持つような、子供達が自ら気付けるような取り組み内容が想定されています。

最後の「異文化交流体験」については、ALTや留学生などと実際に交流する機会が大切であるとされています。

「思考力,判断力,表現力等」

今までの学校での英語教育のような決められた表現の反復練習ではなく、常に自分で考えるコミュニケーションであるべき点が強調されています。

生徒が自分の事として行うコミュニケーションの目的や状況に応じ,自分自身の考えを表現することを通して「聞くこと・話すこと」のスキルを身につけさせます。

具体的な範囲は以下の2つに示されています。

  • 自分自身のことや身近な事柄について,簡単な語句や基本的な表現を使って,相手に配慮しながら伝え合うこと
         
  • 身近で簡単な事柄について,自分の考えや気持ちなどが伝わるように工夫して、質問をしたり質問に答えたりすること

共通するポイントは、【生徒が外国語活動を通して初めて英語に触れる】前提のため、自分の身のまわりのリアルとして認識し、共有できるトピックを活動の題材に選ぶという点です。

英語で質問することはもちろん、相手と伝えあう双方向のやり取りを行う事は、子供達にとって難しい事であると忘れず、できるだけ取っつきやすく想像しやすい身近なトピックを選ぶという事ですね。

そして上記内容を踏まえ、趣旨と目標からも読み解かれた以下の3つが、3,4年生で教えられるカテゴリーです。

  • 聞くこと
        
  • 話すこと(やり取り)
         
  • 話すこと(発表)

キーワードの言語活動を通しての設定は、子供が興味を示すトピックを選び、「聞くこと・話すこと」が自分の身近なリアルと直結するように行います。どこかの誰かの話ではなく、自分のこととして取り組む姿勢が必要であるという事です。

ただし、この時点では正確なスペリングや正しい文法を指導せず、あくまで自然に耳に入ってくる発音やリズム、イントネーションに重点をおくところが大切なポイントです。

例えば「聞くこと」であれば、学級のみんなが知っている地元の動物園にいる動物について、数を交えて話される内容を聞き取る、そういった練習だそうです。

これを自ら英語で話す事が難しい教員もいると思われるので、おそらくALTが中心になって話すのでしょう。できるだけゆっくり、はっきりと話される英語で身近なトピックを聞く練習ですね。

話すこと(やり取り)」に含まれるのは

  • 教室内でのあいさつ
          
  • ペアになっての感謝や指示、依頼を双方向でやり取りする練習

今までの英語教育って、”How are you?”と言う先生、常に”Fine, thank you. And you?”と応えるのがお約束で、ただの繰り返しだったと思います。

しかし、その時の気分で何通りも応えられるようにできれば、それはやらされている暗記ではなく、自分の感情を表現していることにつながるわけですね。

  • ”Here you are.”「どうぞ」
  • ”I see.”「なるほど」
  • ”Thank you.”「ありがとう」

こうした会話の中で自然に使われる相槌を生かすには?と、自ら考えながら使う自主性の育成も含まれます。

そんなの簡単では?と思いがちですが、実際の授業風景の参考映像を見る限り、まだ相手の子が発言を終えていないそばから”I see.”と相槌を打っていたり、暗記の延長から抜け切れていない子も目立ちます。

そう言うものと教わったから言っているだけで、普段の日本語の会話で「ふーん、そうなんだ」と自然に口にしている相槌にはなっていないんですね。

そして「話すこと(発表)」では、イラストや写真を使いながら、人前で自分が調べた事や意見を話す活動とされています。

どうすれば相手に伝わりやすいかを意識する事でコミュニケーションとしての側面が強調され、そのためにははっきりとゆっくり話し、ジェスチャーを交えるなど、子供達自身の工夫が必要になります。

正直、文科省の提示する例が本当に子供達が関心や興味をもつかな?という疑問や、実際の授業の様子を見られる動画で参照する限り、指導する先生の英語力とコミュニケーション力に大きく依存するなぁという感想があることは否めません。

指導計画の作成と内容の取扱い

上記の内容を実際の教育現場に落とすために、文科省は教員に対してどのように作成すればよいかという指導計画の指南も行っています。

ここの部分は保護者向けに情報がリリースされない部分なのでしょうが、教員にどういう要請を行っているのかが分かれば、授業の実践具合も腑に落ちるかもしれないという意味で、保護者にとっても重要かもしれませんね。

まずやはり指導計画の中心になるのが、5、6年生の成績がつく科目としての英語、そしてその先の中学校での英語の授業に連続するものであるべきという点です。

それまでの「聞くこと・話すこと」に加えて、「読むこと・書くこと」に自然とつながる事は、前述の趣旨でも言われている通り課題の一つです。

例えば、5、6年生になると他国の子供達の生活を勉強したり、行ってみたい国について話しあったりするので、既にそういう外国の人々や文化への興味・関心が育まれているようになどが盛り込まれています。

また、地域に住んでいる留学生などのゲストスピーカーとの交流や、ALTに出身国についてプレゼンしてもらって質問の時間を設けるなど、より外国を感じられる機会の創造なども推奨されています。

さらには障害を持つ児童のケアや、視聴覚教材やコンピューターを活用した教材作り、ペアワークやグループワークの導入など、キーワードである言語活動を通したアクティビティが求められています。

5,6年生の外国語科の趣旨と要点

ここまで要約してきましたが、まだ200ページ越えの1つの資料の1/3地点という感じです。

ここからは「5,6年生の改訂の経緯及び基本方針」が説明されています。

導入部分は3,4年生とほぼ同じ内容の繰り返しであり、「5,6年生の外国語科の趣旨と要点」も「3, 4年生の外国語活動の導入の趣旨と要点」とほぼ同じです。

最大の違いは、3,4年生が「外国語活動」であるのに対し、5,6年生は「外国語科」と正式な科目になっている事です。

趣旨

  • これからはどんな仕事についても生涯英語が必要になる
        
  • 小・中・高を通して、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を学ぶ
        
  • 中学に進む時に、「聞く・話す」が、「読む・書く」に効果的に生かされていない現状を改善する
        
  • 日本語と英語間の、発音と文構造が違う事への生徒の理解が弱い現状を改善する
         
  • 学年が上がるにつれ、英語の学習意欲が低下する傾向を改善する

今回の改訂では,まず3,4年生から外国語活動を導入し、「聞く・話す」を中心とした活動を通じて外国語に慣れ親しみ外国語学習への動機付けを高めます。

そして5,6年生から各生徒のレベルに応じて段階的に「読む・書く」も加えて,中学校の英語につなげる連携がポイントです。

要点

5,6年生の外国語活動の目標も、3,4年生のそれとほぼ同じです。

  • 「知識及び技能」
    実際に外国語を用いた言語活動を通して,外国語の音声や文字,ボキャブラリー,表現,文構造,言語の働きなどについて、日本語と外国語との違いに気付ける事が基本です。

    そして、これらの知識を理解し,「読むこと」,「書くこと」にも慣れ親しみ,「聞くこと」,「読むこと」,「話 すこと」,「書くこと」による、実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身に付けるようにする事とされています。
        
  • 「思考力,判断力,表現力等」
    1.具体的な課題等を設定し,コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,情報や考えなどを表現できる
        
    2.身近で簡単な事柄について,外国語で聞いたり話したりできる
        
    3.音声で十分に慣れ親しんだ外国語の簡単な語句や基本的な表現を推測しながら、読んだり,語順を意識しながら書いたりして,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる
         
  • 主体的に学習に取り組む態度」

ここでもやはり【言語活動を通して行う】ところと、【英語に慣れ親しむ】という二点が強調されています。

ただ単に話を聞くだけでなく、すでに3,4年生で慣れ親しんだボキャブラリーや表現を使って自分の考えや意見を伝えあうという活動です。

しかし、3,4年生と最も大きく異なるのは、目標の語尾が「慣れ親しむ」で終わらず、「できるようになる」と明言されている点にあります。

これは5,6年生の外国語科は評価されて成績がつく科目という位置づけだからです。

「できた」か「できなかった」で評価されるので、必然的に生徒は「できるようになった」ことを証明しなければなりません。英語学習の進め方は、完全に3,4年生の外国語活動を踏襲しますが、ゴールとなる目標の重さは全然違ってきますね。

文科省が説明する5,6年生の「外国語科の目標」について外国語科と英語に分けた章、及び「その評価と成績」について詳しくはこちら

学習指導の最重要ポイントとは?

5,6年生の外国語科の英語における指導計画の作成と内容の取扱いについて既述されている部分は,次の通りです。

  • 言語材料については,発達の段階に応じて,児童が受容するものと発信するものとがあることに留意して指導することを明記した。
         
  • 「推測しながら読む」ことにつながるよう,音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現について,音声と文字とを関連付けて指導することとした。
           
  • 文および文構造の指導に当たっては,文型の用語や用法の指導を行うのではなく,言語活動の中で基本的な表現として繰り返し触れることを通して指導することとした。

やはりこのように硬い表現なのですが、つまりは3,4年生で慣れ親しんだボキャブラリーと表現の音声からローマ字に結び付け、読むと書くにつなげていくという事ですね。

そして読む、書くに必要となる文型も、あえてまだ文型とは呼ばずに文構造としています。

S+V+O+Cなど主語や動詞をまだ意識させず、”I”や”You”の後には「食べる」や「走る」が来るという法則を肌感覚で覚えればよいという感じです。

そしてこれら文構造の習得も「言語活動」を通してインタラクティブに行うという方針ですね。

気になる外国語科の具体的な内容は?

3,4年生と同じく、外国語科の目標と学習指導の方針は上記の通りでした。

そして、保護者や生徒が最も関心があるであろう「具体的に何をするのか?」という内容についても同様に「知識及び技能」と「思考力,判断力,表現力等」にに分けて説明されています。

大枠では、外国語科は「コミュニケーションを図る基礎を育成する」ことを目標としています。

「知識及び技能」

3,4年生で慣れ親しんだ英語の音声での言語活動を基に、今度は「読むこと・書くこと」にも慣れ親しむことに重点を置いています。

5,6年生になっても大切なのは、やはり自分の事として自分の意見を伝えあう言語活動と密接に結びつける事で変わりません。それを「読み・書き」も加わる事で、音声、文字にそれぞれカテゴライズしているだけです。

音声

まず音声については、以下の5つの内容でさらに細分化されています。

・現代の標準的な発音

英語の派生は多様であるという点は認めつつ、小学校での勉強としては特定の地域の発音や訛りに偏らない、いわゆる標準的な発音を指導するという前提が見受けられました。

英語なのか米語なのかなど、さらに詳細な説明はされていませんので、例えば”can’t”が英語式に「カント」に近くなるのか、米語の「キャン(ト)」に近くなるかは、ALT次第になるのでしょうか?

また、日本語にはない発音の”th”や“v”などについてや、発音しない子音について、日本語にはない母音と子音についてなどは、標準的な英語に沿った発音のまま指導し、日本語のカタカナ発音にならないように注意するとあります。

至極もっともですが、英語が苦手な日本人の先生にはハードルが高そうです。

     
・語と語の連結による音の変化

聞くことの難易度を上げていると想定している、いわゆるリエゾンの重要性を認め、語と語が連結する事で生まれるリズムと発音に慣れる事が必要とされています。

実際にローマ字で書かれた単語を示しながらリエゾンの解説をするのは中学校で行うものとしているので、小学校では繰り返し触れさせることでリエゾンというものに慣れ親しめばよいという感じです。

例えば”an apple”を「アン アップル」という発音で慣れさせるのではなく、「アンナポ」というリエゾンが自然である事を、現時点では感じられさえすれば良いという事ですね。

     
・アクセント

英語独特のリズムに慣れさせるために、しっかりと強弱によるアクセントを付け、はじめから英語のリズムを気付かせて習得させる事が重要とされています。   

まさに英語を学んでいる日本人にとっても、慣れるまでに最も高いハードルの一つですので、日本人の先生も簡単ではないかもしれませんね。

      
・イントネーション

イントネーションの上げ下げに関しても、実際に書かれた文章を目にしながらに理解するのは中学生になってからですが、慣れ親しむという意味で、5W1Hの疑問文の語尾を下げたり、肯定文なのに語尾を上げて疑問文のように聞くケースなどもある事に慣れ親しむよう、指導が求められています。

     
・文における基本的な区切

少し意味を解釈しづらいのですが、文の構成や意味のまとまりを捉えて区切ると、聴くことにも話すことにも理解し易くなるメリットがあるため、そこが分かるように指導するとあります。しかし、上の4つと比べると具体性はなく、教える先生によって最も差が生じそうです。

文字および符号

文字および符号については、以下の2つです。

・活字体の大文字、小文字

英語では”c”の名称は「シー」ですが、”cat”などのように”k”と発音される事があります。

しかし小学校段階では、文字の名称を聞いてその文字を認識できるよう指導すればよいとの事です。

大文字と小文字それぞれに、コミュニケーションの一環として文字を書くという目的意識を指導します。

つまりそれを読む相手がいる事を意識し、一文字ずつ区別して認識できるような丁寧さと、適度の速さで書きあげる事も指導します。

実は小学校3年生の国語科で日本語のローマ字表記が指導されています。英語では日本語のローマ字表記に当てはまらない綴りがあるので、そうした単語については十分に慣れさせた後で書くようにするといった工夫が必要という指摘がありました。

筆記体については、中学生になってからという事で、小学校の外国語科では扱いません。

      
・ピリオド、クエスチョンマーク、コンマなど

文章として書く時に必要な符号は指導されます。

ピリオドの直前にスペースは入れない、ピリオドの後にはスペースを空けて次の文を始めるなど。

小学校の外国語科においては短文を扱うこととするとあるので、コンマについては以下の2つのケースのみです。

  • Hi, Ken.”など人の名前を呼びかける時や
        
  • apple, orange, banana and grape.”など並列にする時

ボキャブラリー

また、ボキャブラリー、イディオム及び慣用表現については、以下の3つです。

・ボキャブラリーは大体600~700語の習得を想定しているとのことです。

日常会話で用いられるであろう単語を中心に、挨拶や自分に関連する語、自分の意見を伝えるための基礎的な言い回しに必要な語を指導します。中学校に行ってからの学習の土台になる事も期待されています。

・イディオム

get up”や”look at”のように自分の事を伝えたり、質問を作るのに必要な言い回しがイディオムである場合、これを指導するという事です。生徒が言いたい内容によって、教材には載っていないイディオムも指導する事を示唆されており、ここも先生の英語力に依存してしまうかもしれません。

・慣用表現

例えば、コミュニケーションを図る上で日常的によく使われる、下のような慣用表現を身に付けさせるという事です。

  • ”Excuse me.”
  • ”I see.”
  • ”I’m sorry.”
  • ”Thank you.”
  • ”You’re welcome.”

イディオムと同様に、生徒が言いたい表現が必要なら指導して欲しいというニュアンスがあるので、先生の英語力に依存するでしょう

文と文構造

次に文と文構造についてですが、あえて文型とは呼ばずに、小学校では文構造と呼ぶそうです。

要はS+V+O+Cなどのように主語や動詞と関連付けて学ぶのではなく、一番初めに「誰が」が来て、次に「何をする」を言うなど、日本語の構造とは異なる気付きを得るように指導する事が求められています。

これは、先生が真面目に文型というセオリーを教える事に拘泥しないように配慮した結果だそうです。

大切なポイントは、とにかく何度も反復して聞いたり話したりを通して、この英語の文構造に慣れ親しむという点です。文法と絡めた指導は中学生になってから行います。

ですので、例えば”I am good at playing tennis.”という表現も、小学校では特に動名詞について説明したりはしません

(冒頭でも触れましたが、この教えないのになぜ動名詞を用いるかについては説明を見つけました。

日本の子供たちはよっぽど自信が無い限り”I can play soccer.”と気軽に言えないんだそうです。

そこで、「できる」ではなく「まぁ得意」というニュアンスが加われば言えるということで、”can”に代わる表現として”be good at -ing”を指導するのだそうです)

また、文の中に主語と述語の関係が一つだけ含まれる単文のみを扱って、以下の形の文を指導するそうです。

・普通の肯定文と否定文

動詞に3単元の-sをつける文法は避けています。”can”を使用する事で回避します。

・肯定と否定の命令文

命令文は丁寧さに欠けた表現であるとして、使用する場面設定に配慮するとありますが、具体的には示されていません。

・疑問文

小学校で教える疑問文は以下の通りです。

  • be動詞と”Can”、”Do”で始まる答えが”Yes”か”No”の疑問
  • 5W1Hの疑問文

小学校で教えない疑問文の例は以下の通りです。

  • ”May”や”Will”などの助動詞
  • ”Does”や”Did”で始まる疑問文
  • ”Which”や”Whose”などの疑問視でで始まる疑問文

・代名詞

“I”、”You”、”He”、”She”のみ使用します。

特に代名詞の説明はせず、「彼=he」という理解のみで大丈夫とされています。また、三人称を用いる事によって生じる「動詞に-sをつける」「疑問文と否定文は”does”を用いる」などの詳細についてはスルーする事になっています。

・過去形

-ed”をつける過去形は出来るだけ使わないようにし、日常会話で使用頻度の高いenjoyedだけ推奨されています。

代わりに、明らかに違いが分かる”saw”、”went”、”ate”を中心に使います。あとは”was””were”ですね。

・文構造

文構造の詳細については、以下の3つに細分化されますが、いずれも日本語との違いを気付かせ、基本的な表現としてコミュニケーションを通して実際に繰り返し触れるように指導する事が重要とされています。

(i) 主語 + 動詞

主語+動詞だけであれば難しくありませんが、後ろに副詞句や前置詞句が加わると少し難しくなりますので、まずは主語と動詞を確実に理解する事を優先させます。

(ii) 主語 + be動詞 +(名詞、代名詞、形容詞)

My name is Sakura.”、”This is me.”、”I am happy.”など

(iii) 主語 + 動詞 +(名詞、代名詞)

I like apples very much.”、”I like it.”など

You look nice in that jacket.”などのように動詞+形容詞は、小学校では扱いません。

また、動詞が”want”の時が多いと思われるので、その場合は「to 不定詞」の形を取りますが、特に文法的な理解を指導する必要はないようです。コミュニケーション上、そう言うものとしてスルーしても大丈夫です。

「思考力,判断力,表現力等」

「具体的な課題などを設定し、コミュニケーションを行う目的や場面、状況に応じ、情報を整理しながら考えた上で意見を言う事を通して」以下の事項を身に付けられるよう指導します。

  • 身近で簡単な事柄について、伝えようとする内容を整理した上で、簡単な語句や基本的な表現を用いて、自分の考えや気持ちなどを伝えあう
        
  • 身近で簡単な事柄について、音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を推測しながら読んだり、語順を意識しながら書いたりする。

3,4年生と同様に、英語で伝えあうだけでなく、自分と相手の考えを比較したり、新しい知識を学んだりしながら、自分の考えを再構築することです。

柔軟に異なる意見にも耳を傾け、自分の意見に肉付けする作業が推奨されます。

若干、場面設定が難しい気はしますが、参考にする文章や絵、写真などと自分自身を結び付けて、あくまで自分に関する事として読み書きに生かさなければなりません。

外国語科の授業内容については、こちらの章で徹底的に詳しく解説しています。もしお時間があれば是非!

指導計画の作成と内容の取扱い

5,6年生の指導計画の作成に当たっては、3,4年生と中学校及び高校における指導との接続に留意しながら以下の事項に配慮するものとされています。

  • 生徒たちが主体的で対話的な深い学びの実現を目指した授業改善を進める
       
  • 2学年間を通じて外国語科の目標の実現を図る
       
  • 3,4年生で習った語句や表現を使ってさらなる定着を目指す
       
  • 繰り返し学習させて基本的な語句や表現を定着させるために、朝の時間、昼休み前後、放課後などを利用して10‐15分の短時間学習を実施する
       
  • 言語活動で扱う題材は、児童の趣味・関心に合ったものとする。国語では日本語との違いに関心を持ち、音楽では言葉のリズムなどと絡めて、図工では完成した作品をShow and tellで紹介するなど、他の教科との連携も工夫する
       
  • 障害のある児童には、学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や方法を組織的に工夫する
       
  • 学級担任の教師または外国語を担当する教師が指導計画を作成し、授業を実施するに当たっては、ネイティブスピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得るなど、指導体制の充実を図るとともに、指導方法の工夫を行う

小学校の英語授業に関する基本情報

時間割について

3,4年生では1年間にそれぞれ35時間の外国語活動の時間が割り当てられています。一週間で1 – 2コマの授業が導入されます。

5,6年生は1年間にそれぞれ70時間の外国語科の時間が割り当てられています。英語以外の科目の時間と相殺するわけではないので、一週間で3コマほど授業が増えることになります。

これには、今まで使用してきた時間割にどう追加するかという問題が避けられません。

文科省は各学校に工夫して時間を捻出することを依頼している状態ですが、モジュールと呼ばれる15分位の短縮授業を朝、昼休み前後、放課後に上手く使って1コマ分を分散させないと難しいようです。

教材について

3,4年生用は「Let’s Try! 1 & 2」

Let’s Try!」というタイトルについては、文科省から以下のような意味であると説明があります。

Let’s” とは,話し手も聞き手も含めてみんなでという意。“Try” は,間違ってもいいからやって みるという意

外国語活動では,間違いを恐れず,みんなで外国語を使って互いの気持ちや考えを伝 え合おうとすることを大切にしたい。

そのためにも,指導者自ら外国語を使うことを心掛けたい。

先生も生徒も含め、みんなで間違ってもいいからとにかくやってみようという想いがあるようですね。

教材は、3年生用のLet’s Try! 1」がUnit 1 – 9、 4年生用のLet’s Try! 2」もUnit 1 – 9で構成されています。

特徴としては、各Unitごとに必ず、以下の要素が入っている事です。

  • Let’s Watch and Think 
    映像を見ながら英語でまとまりのある話を聞き、英語の意味を推測したり話の概要をとらえたりする。また、聞き取った内容に関する質問に答える。
         
  • Let’s ChantかLet’s Sing 
    設定された表現について、英語のリズムやイントネーションに自然に慣れ親しむ。
       
  • Let’s Listen 
    英語の音声を聞いて、必要な情報を聴き取ったり概要をとらえたりする。
        
  • Let’s Play 
    ゲーム的な要素を取り入れ、英語の音声を聞いたり言ったりして慣れ親しむ。
        
  • Activity 
    各単元で学習した表現を使って、友達と自分の想いや考えを伝え合う。

5,6年生用は「We can! 1 & 2}

1単元8ページで構成され、以下の要素を含んでいます。

  • Let’s Watch and Think 
    映像を見ながら英語でまとまりのある話を聞き、英語の意味を推測したり話の概要をとらえたりする。また、聞き取った内容に関する質問に答える。
        
  • Let’s ChantかLet’s Sing 
    設定された表現について、英語のリズムや院tネーションに自然に慣れ親しむ。
        
  • Let’s Listen 
    英語の音声を聞いて、必要な情報を聴き取ったり概要をとらえたりする。
        
  • Let’s Play 
    ゲーム的な要素を取り入れ、英語の音声を聞いたり言ったりして慣れ親しむ。
         
  • Activity 
    各単元で学習した表現を使って、友達と自分の想いや考えを伝え合う

さらに加えて

  • Jingle 
    文字の読み方には、名称と音があることに気付き、それらに慣れ親しむ。
       
  • Sounds and Letters 
    ページごとの左下にアルファベット、右下にその文字を含む単語のイラストを掲載。文字の音と、その音で始まったり終わったりする単語に慣れ親しむ。
        
  • Let’s Read and Write 
    これまでに聞いたり言ったりして音声まで十分に慣れ親しんだ表現を呼んで、書き写す。また、例から言葉を選んで書き写し、自分の想いを表現したり、友達が書いたものを読んだりする。

この3つの要素で、「読むこと・書くこと」の基礎を学び、アルファベットが読める、アルファベットを4線上に書けるように、まずは習得を目指します。

使用するフォントも「Handwriting WeCan Medium」というフォントを文科省が学校のために用意しているので、このフォントを元にお手本を作って生徒たちに練習させます。

6年生の中盤から、英文の書き写しもはじまりますが、それによって単語と単語の間にはスペースが有る事や、ピリオドの後ろ、次の文の始まりとの間にもスペースがある事などを学びます。

そして書き写しながら、英語の語順にも慣れ親しむ事も狙っています。

さらに加えて、読むことへの慣れ親しみ、文字や単語の認識を狙います。

Story Time 
まとまりのある話を聞いて、その概要が分かったり、話についての質問に答えたりする。また、十分に音声を聞いた後、音声を聞きながら文字を指でおったり、読んだりするものです。

具体的には

  • 英語の自然な音声を繰り返し聞き、その意味について画を手掛かりに推測したり、文字と結び付けたり、単語や文、語順などの認識を深めたりします。
       
  • 同じ韻を踏むチャントを続けて聞くことで、文字と発音の関係に気付く。読む事に慣れる、自分で読むようになる活動の設定
       
  • 5年生では
    ・各UnitのStory Timeを合わせると、全部で9ページに渡る起承転結のある一つの物語

    ・主人公は、4年生の「Let’s Try! 2」のUnit 9 This is my day.の絵本の主人公カズ君
         
  • 6年生では、
    ・各Unitで話が完結

    ・韻を踏んだ音の楽しさ”dish, fish, jellyfish”や”cat, pat, hat”など

文科省が作った教材の特徴について、より詳しく解説した章はこちらから参照できます。

もう一つ気になる事は【教える先生の英語力】

保護者の方はもちろん、当事者である全国の小学校の先生方の間でも、実際のところ【小学校の先生の英語力】はどの位であると判断できるのでしょうか?

よく抱かれるイメージとして、英語を話せない先生に習うのでは、子供が英語に慣れ親しむどころか、つまらないし分からないという理由で【早い段階で英語を嫌いになる】のではないか?という懸念かと思われます。

そのイメージが払拭できるかどうかは保護者に委ねられますが、判断する材料として知っておくべき事はありますね。

小学校の先生の英語力について

文部科学省の令和元年度「英語教育実施状況調査」という資料を参考に、大切と思われる要点をまとめると以下の通りです。

まずは純粋な英語力という面については、このグラフで確認できます。これは、全教員のうち【英検準一級】レベルに到達している先生の割合です。

小学校は調査対象が19,187校、調査対象教師数が336,638人です。

この調査結果だけを見れば、今現在小学校教師の英語力は高くないし、ここ何年も全く改善もされていないと判断せざるを得ません。

英検準一級といえばTOEICでは730点位に相当すると言われています。

今回の小学校の英語授業改定では、英語のテストの点数を上げさせるという目標ではなく、英語をコミュニケーションの手段として活用し、グローバルな環境で活躍できる人材を育てるという趣旨でした。

つまり、満点の990点を何度も取っているTOEICの受験者が英語で外国人とコミュニケーションを取れない現実もある事から、小学校の先生が子供達に自分の考えを英語で伝えられるように教えられないと一概には判断できません。

文科省による教員のサポートおよび教員養成プラン

ALTを活用する

「日本語にはない”th”や”v”といった発音を正しくできる自信が無い」や、「イントネーションやアクセントを正しい英語の発音で行う自信がない」と思っている小学校の先生は多いでしょう。

それまで特に英語を指導するトレーニングを受けてきていないのですから、やり方が分からなくても当然です。

そこで文科省は、発音に関することや、海外の文化に興味を持たせられるような自分の母国に関するプレゼンなど、積極的にALTを活用することを勧めています。

何でもかんでも担任が行うのではなく、以下のような様々な人の力なども、積極的に借りてしまおうという発想は悪くないでしょう。

  • ALT
  • 英語専任の先生や地域の教員指導員
  • 中学校や高校の先生
  • 特別非常勤講師
  • 海外経験のある地域のボランティアや協力者

子供達もいつものように担任が授業をする代わりに、外からゲストがくれば何かワクワクするものですし、英語指導に関する担任教師の負担も軽減できます。

文科省が提供する指導素材や教材の活用

文科省は担任が外国語活動や外国語科の授業を行うサポートのために、資料と動画で教員の研修を担える素材を提供しています。

そのまま使える年間指導計画案や学習指導案を提供しているので、本当に自信がない教員はそれに従えば大丈夫なように考えられています。

さらに教材の各Unitごとにも指導プランを具体的に例示していますし、実際の授業を動画で配信し、教員それぞれが自分の授業に応用できる事を期待しています。

実際の授業においても、発音に自信がなければデジタル教材を活用する事も可能です。

小学校の教員の英語力について、より詳しく現状を知りたい方はこちらの章でまとめているので是非!

まとめ

全て文科省の開示している資料を元に、300ページ以上におよぶ内容を読み解き、300分以上の動画資料で内容を補足しながら、小学校での英語教育の本格始動について文科省の意図するところをまとめてきました。

・3,4年生の外国語活動では、英語の「聞くこと・話すこと」に慣れ親しむために、【外国語を用いた言語活動を通して】自分の考えを伝え、相手の話を聞くコミュニケーションスキルの向上を目標とされています。

成績がつくことはなく、よって目標も「慣れ親しむ」ことです。

・そのために「知識及び技能」と「思考力,判断力,表現力等」に分けて、具体的な指導内容などが決められていますが、いずれも【初めて英語に接する】ことを忘れず、苦手意識を持たせないよう考えられています。

・5,6年生の外国語科では、「聞くこと・話すこと」に加えて、「読むこと・書くこと」の技能が追加され、やはり3,4年生と同じく【外国語を用いた言語活動を通して】自分の考えを伝え、相手の話を聞くコミュニケーションスキルを育みます

・3,4年生と異なるところは、成果を評価されて成績がつくところです。目標が「慣れ親しむ」ことから「できるようになる」に変わります。

・外国語活動と同様に、「知識及び技能」と「思考力,判断力,表現力等」に分けて、具体的な指導内容などが決められていますが、小学校時点では曖昧にしたまま中学校に入ってから改めて学ぶ文法なども多く、ガチガチにテストにつながる知識を学ぶよりも、コミュニケーションとしての英語という位置づけは変わりません。

・他の教科と相殺されるのではなく、 外国語活動も外国語科もそれぞれの授業時間は単純に従来の時間割に追加される形です。3,4年生では年間35時間、5,6年生では70時間増える事になります。

教材に関しても、英語を使って自分の事を話すことができるように流れが考えられています。

・小学校の先生の英語の実力は、正直発展途上であると言わざるを得ない状況ですが、だからこそ文科省の手厚いサポート体制があり、各学校による活用の仕方次第ではありますが、改善の道筋はたてられていると感じます。

まだ始まったばかりなので、これから実際の現場で見えてきた問題点を次々に改善していく流れは続くことでしょう。アジア諸国の中でも、日本の学生の英語力ははるかに下のグループに位置している現状があります。

どうすればグローバルに活躍できる人材を育てられるか?避けては通れない命題である事は間違いありませんので、文科省が本気で改革しようとしている日本の英語教育の推移を見守りたいですね。

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