ポジティブなコミュニケーションは、英語では10倍必要
20年の海外暮らしの中で、仕事でもプライベートでも多くの留学生に接する機会がありました。
学生達の個性はその人数分ありましたが、どこかでポジティブなタイプとそうじゃないタイプの線引きも出来たように思います。
現状の生活を楽しみながら満喫し、ホストファミリーや友達にも恵まれ、苦しみながらも留学期間を乗り切って素晴らしい進学も果たすというスパイラルを得られているのは、どちらのタイプかは言うまでもないでしょう。
なぜポジティブな人がそういうスパイラルを得られるかと言うと、留学先の価値観や文化にマッチするからです。
この章では、せっかく高額な費用をかけて留学するのですから、自分自身のまたはお子さんの人生にとって最高の経験に出来る様、ちゃんと海外の現実を客観的に分析した上で、なぜポジティブだとマッチし易いのかを説明します。
ポジティブとネガティブの定義
まずは、どうしても主観が入りがちな「どこからがポジティブで、どこからネガティブになってしまうのか?」という定義をはっきりさせておきたいと思います。
留学生活を通して一つキーワードになるのが、「態度」や「姿勢」、「振るまい」という意味の”attitude”です。
これをポジティブに保てるか、周囲に背を向けて逆行してしまうのかで、その後の結果が変わってしまいます。
ただ、性格によっても頑張っているつもりなのにネガティブと捉えられてしまう子もいるでしょうし、ただの能天気で無責任な明るさがポジティブとも限りません。
そこで、以下の様に定義してみます。
◆ポジティブな”attitude”
- “Not”を使わない
- “can’t”を使わない
- “shouldn’t”を使わない
- “fail”, “fault”, “mistake”などのネガティブワードを使わない
- オープンマインド
- 自分の意見を持ちそれを発言する
◆ニュートラルな”attitude”
上記の要素を実行しないし、逆もしない
◆ネガティブな”attitude”
上記の要素の逆をする
留学先の滞在国によって誤差はあるでしょうが、対日本との比較の場合はそれほど大きな差では無いと思います。
これで一応のポジティブの定義は、はっきりしそうですね。
学校の授業中
では、どうしてポジティブな”attitude”が結果的に良い結果に結びつくのかを説明していきます。
まずはイメージを掴んでもらうために、分かり易い所からいきますね。
海外の学校では、例えば年度末の試験一回だけで全ての評価が決まるという事はほとんどありません。通年で行われる定期チェックやアサインメントを総合して評価されます。
その中でもかなりの比重を占めるのが、授業への貢献度です。
- 積極的に挙手をして発言する
- クラスに新しい視点を持ち込む
- グループワークでリーダーシップを発揮する
- ユーモアでクラスの雰囲気を良くする
このような効果をクラスにもたらした学生の評価は各担当教師によって評価され、かつ全体で共有されます。
ですので「自分の意見を持ち発信する」、「オープンマインドで様々な意見を取り入れる」などのポジティブ要素が、成績アップに直結した成果をもたらします。
遊びやスポーツの例に見る言葉の使い方
海外に日本とは異なる価値観や文化があるのは当然です。
まして自ら選んだ留学先です。「郷に入っては郷に従え」そのものではありますが、そうした異なる環境に身を置く事で成長出来る事が多々ある事は承知の上のはずですね。
しかし、意外とここがどうしてもダメでホームシックになったり、日本のやり方を押し通そうとし過ぎて衝突したり分かり合えずにいる学生も本当に多く見てきました。
弥助的には「もったいない」の一言です。
では、どうですればいいか?まずは知る事から始めましょう。
対日本で海外の学生を比べた時に、最も差異が大きいと感じる部分は言葉の使い方です。
分かり易い例を挙げます。
所属するサッカーチームが試合に負けたとします。しかもあなたも含めチームメイトのミスが続いたせいでの大敗だったとしましょう。
場面ごとに見た場合、チームメイトが誰にも届かないパスをしたとします。
どういう反応を想像しますか?もし日本人だったらこんな感じでしょうか?
- 蹴った本人は「しまった、あそこに蹴るべきじゃなかった。ゴメン!」
- パスを追いかけた味方も「ミスキックだな、あれは届かないよ…」と落胆
もしこの通りのイメージなら、これが”shouldn’t”や”can’t”を使ってしまうネガティブ”attitude”という事です。(違うといいのですが…)
海外での思考は全く逆です。
- 「この結果で、次どこに蹴ればいいか分かった!」
- 「あのスペースでもらうにはもっと早い出だしで行こう」
そしてお互いに拍手しながら、親指上げたりして気持ちを切り替えているんですね。
だからミスした選手は謝りません。
日本の高校の試合で、ミスした選手が手を挙げたり合わせたりしてチームメイトに「ゴメン」と謝る仕草をしているのを見ると、やっぱり違うなぁと思います。
野球で滅多打ちにあった投手でも日本人だとプロでも暗い顔でベンチに戻り、インタビューでも「今日は良くなかった。修正して次回に繋げたい」と反省の弁を述べます。
しかし、メジャーリーガーはあたかも相手バッターが調子よかったのが生意気だと怒りの矛先を向けるか、相手打線が素晴らしかったと称賛します。
どちらにしても謝罪や反省の”attitude”は出て来ません。
どちらがいいか悪いかではなく、ただこの様に違うのです。
こうした価値観の中で、もしあなたが遊んでいたり一緒にスポーツをしている時にいちいち何かと謝っていたら、それは馴染めないでしょう。温度差はなかなか埋まらないと思われます。
友達との価値観を等しく持っていれば、より理解し易いはずです。
ギフトをあげる時
この例は有名な例なので、さほど詳しく説明する必要は無いと思いますが、日本人がギフトをあげる時の例のあれですね。
「つまらないものですが」
日本にいるならこれが正解です。謙虚さを表す美しい言葉です。
しかし、海外では理解されないのです。ただそれだけです。
“This would be the best item for you ever!”
「これはあなたに最高のはずよ!」
自分がベストと思う物を、ベストと言って満面の笑顔でくれる文化です。
何度も言う様に、いい悪いではありません。ただ違うのです。
あげる相手が海外の友達なら、相手がただ喜べるやり方であげる方がずっといいという事にすぎませんが、とても大事な事です。
海外にもポジティブではない例外のケースもあります
では、海外では常にどんなコミュニケーションもポジティブかというとそれも違います。
特に気を付けなければいけないのは、カスタマーサービスに関する事です。
もう本当に酷いです。ネガティブ”attitude”がこれでもかと詰め込まれています。海外移住者で、ここがどうしても嫌で日本に帰国する人もいるくらいです。
もし、万が一、どうしても、それでもやっぱり、どれだけ酷いか知りたければ、敢えてまとめた章があるので、こちらからどうぞ。
結論~ポジティブ”attitude”同士になろう~
留学は語学を伸ばしにいくだけが目的ではありません。それなら駅前留学で十分なはずです。
日本とは異なる環境の中で、日本では出会えない人達に出会い、日本では経験できない事を経験する事に意味があり、その為にはポジティブ”atitude”同士で一つの土俵に上がるべきです。
念の為もう一度ポジティブ”attitude”の定義をおさらいしておきましょう。
- “Not”を使わない
- “can’t”を使わない
- “shouldn’t”を使わない
- “fail”, “fault”, “mistake”などのネガティブワードを使わない
- オープンマインド
- 自分の意見を持ちそれを発言する
同じ言葉、同じ価値観、同じ文化の中で過ごす事により、同士は一生の友達という同志へと変わる事ができます。