高校留学は果たして高額な費用をかけてでも行く価値があるのか?
一昔前の高校留学と言うと、日本の高校を中退する等して行き場の無くなった子達が、親の世間体の為に留学という体裁で語学学校へ追い出されるケースが多かったように思います。
しかし今、日本の高校を受験せずに海外留学する子供達は、はっきりとした未来像を持っているとは限りませんが、自分の将来を考えた上で英語を勉強しに来るタイプがほとんどになりました。
保護者も、ちゃんと子供の将来を考え、これからのグローバル社会を生き抜く為には留学が必須であると送り出す層が大半を占めています。
とは言え、やはり卒業まで留学する為には500~1000万円程の費用がかかります。果たして高校留学にその価値があるのかどうかと問われれば、もし保護者にその余裕があるのであれば、あると断言したいと思います。
高校留学を考えている本人・保護者がこの章を読む機会があった際、その背中を押すきっかけになれればという気持ちを込めて、高校生が留学で得られるであろうメリットについて、成長面とアカデミック面から理由を詳しくお伝えしたいと思います。
機会編①~日本にいては出会えない人に出会える~
最近では東京を中心に外国人が増えてきましたが、やはり日本という世界でも特殊な単一民族・言語の環境で暮らしている限りは出会えない人達と出会えるという経験は、留学のメリットとして真っ先に挙げられます。
共通のバックグラウンドを持ち、ほぼ同じ価値観の中で生きている日本のユニークな特徴は、決して悪いという事ではありません。
長く複雑な歴史を単一民族で紡いで、ここまで繁栄してきた日本という国は本当にすごいと思います。
世界でも、天皇制も含めて日本の在り方が羨ましいと言う外国人はたくさん存在します。そしてその反面、日本という国について何一つ知らない人もたくさんいるのも事実です。
それを踏まえた上で、自分がこれまで育ってきた日本という国の価値観に加え、それと似た価値観、または全く正反対の価値観を、様々な国からやって来た人達と交わる事で自然と吸収し、肉付けする事が出来たらどうでしょうか?
単純に考えて、日本の価値観にも当然光と影がある訳です。しかし、その中にどっぷりと浸かっているとそれらがよく見えません。
海の外に出て経験を積んだ留学生には、そこが見える様になるのです。
日本の光を見つけ、それまで以上に祖国である日本の事を愛するようになります。半面、気づいてしまった影の代わりに、新たに学んだ別の価値観を選択できるのです。
良い面は継承し、悪い面は代替案を採用できるようになるという事です。
未来において、この柔軟な価値観の使い分けを難なくこなせるようになる事が、留学生が得られる最大のメリットだと思います。
機会編②~見た事ない景色を見られる~
海外には、日本とは全く異なる風景が広がっている事は間違いありません。
現地で旅行をしながら、地球は丸いと実感できる大きな空や青く透き通った海、真っすぐに地平線まで伸びる一本道など、どれをとっても今まで見た事無い新鮮な感動に溢れています。
こればっかりは、どれだけ技術が発達しても、心に響く度合いは実際に訪れる経験を超える事はできないと思います。
それだけでも十分貴重な経験なのですが、それだけに留まりません。特に街の風景になれば、そこに人々の暮らしが重なります。
カフェの文化に触れたり、自転車の走り方などの交通ルール、知らない人同士が交流する場所など、自分の足で歩いた風景は、必ず自分の理想の生き方に反映されてきます。
単純に言えば、今この街の人々のゆったりとした暮らしを見てしまい、その良さに惹かれてしまった自分は、日本で毎日満員電車で通学・通勤したら朗らかでいられなくなるかもしれないと危惧するかもしれません。
そしてそうした自分の価値観を育んでしまった留学生は、自分の意志で自分の生きていきたい場所を選べるような、人に流されない大人になっていく事でしょう。
精神的成長編①~自分の意見を持って、それを発信できる~
留学した子が最も成長する部分を一言で表すなら、それは【自信】でしょう。
なぜなら留学の全てが、自分の責任で自分で考えて決める事の連続だからです。
日本の学校や保護者の様に、自分の生活のほとんどをお膳立てしてもらえる事など一つもありませんので、常に自分がどうしたいかを考えながらセルフマネージメントしていかなくてはなりません。
先生や友達から毎回毎回聞かれる事は、”Would you do~?”という様な、日本語で言えば「~してくれる?」ではなく、”Do you want to do~?“という「あなたは~したいの?」という質問です。
これに留学生は”Yes”か”No”で意思表示しなくてはならず、言ったからには責任を持たなくてはなりません。
この訓練を数年間続ければ、卒業する頃には、自分で決める事、自分自身に責任を持つ事は当たり前になり、初めて日本から到着した時と比べたら顔つきは全く変わっています。
はっきりとした自分の意見を持ち、それを説明できる能力を持ち、それに基づいて行動できる積極性が身につきます。
これだけでも、大学や企業からしてみれば、喉から手が出る程欲しい人材になっているのではないでしょうか?
精神的成長編②~勉強が好きになる~
鶏が先か卵が先かの議論に似ているかもしれませんが、テストでいい点を取れるから勉強が好きになるのか、勉強が好きだからテストでいい点を取れるのかという二択になったら、弥助は間違いなく前者だと思います。
何も実績もきっかけも無くて、いきなり自然と勉強が好きになる事なんてあるでしょうか?
それよりも、小さな成功体験を積み重ねて、要所要所で達成感も得られるからこそ勉強する事が好きになると考える方が理に適っていると思います。
留学生は全部自分で責任もって学校生活を送る中で、この成功体験の積み重ねをおそらく日本の高校生の何倍もの速度と量で繰り返していきます。
初登校の日から比べたら、英語のスキル一つ取ってみても自分の成長を自分自身で実感しやすい環境なのだから当たり前ですね。
子供にとって、自分の成長を実感できる事は、何よりの成功体験のはずです。その達成感が勉強へのポジティブな姿勢となって、その後の人生にも引き継がれていけたら何という大きな武器になる事でしょう。
アカデミック編~受験の選択肢が広がる~
日本の大学は、これからのグローバル社会で活躍できる人材を出来るだけ多く入学させたいはずです。その学生達が活躍するようになれば卒業大学として名前が広まり、次の入学志願者の人数に影響するからです。
ですので、日本の大学は帰国子女枠を設け、海外の高校を卒業した学生の入学に積極的です。それは間違いない流れであり、今後も更に強化されると思います。
その結果、留学生にとっては一般入試で合格するのが難しいと言われる一流とカテゴライズされる大学への入学可能性が高まる事になります。
更にまた留学生は、留学先での進学、または他の国の大学への進学を考えるかもしれません。弥助が見てきただけでも、日本の大学には見向きもせずに現地進学一本と言う学生もたくさんいました。
共通しているのは、卒業するのは圧倒的に海外の大学の方が難しい事を知っている上で、敢えて困難な方を選ぶ姿勢です。
夜も満足に眠れない程の量のアサインメントも待っているし、試験も厳しい事も分かっていながら、それを乗り越えた時の成長と達成感を考えると、どうしても海外の大学での勉強を選ぶのですね。
どちらにしろ、基本的には国内外の大学から留学生は引く手数多であり、一般受験しかない日本の高校生に比べ、受験できる選択肢も多様であると言えます。
結論~イバラの道だけど、メリットは絶大~
ここまで解説してきて、ならば留学させない手はないんじゃないかと思うほどのメリットがある事を分かってもらえたと思いますが、海外で高校生活を送る数年間、思っている以上に過酷でもある学生生活を全うできるかにかかっている事も否めません。
まだ十代の子が乗り越えるには、相当高いハードルの連続なので、途中で挫折する子も嫌という位見てきました。
親元から離れ、ホームステイや寮暮らしをしながら、来たばかりの頃は満足に付いていく事も出来なかった英語力を必死に伸ばしながら、今まで経験してきた事のない環境に馴染んでいかなくてはならないのです。
たまに、それら全てを飄々とこなしてしまう子もいますが(女の子が多いですね)、ほとんどは一筋縄ではいきません。
超大変だからこそ、それを乗り越えた時の達成感も大きいのです。
- 多様な価値観の良さを持ち合わせている人間
- 様々な経験をした視野の広い人間
- 自分の足で立てる自立した人間
- 勉強する事、自分を向上させる事が自然に出来る人間
- 人よりも恵まれた人生の選択肢を与えられる人間
こうした成果を得られるかどうかは、もちろん本人次第ですが、そのチャンスを確実に期待できるのが高校留学です。