留学とTOEICスコアの関係とは?
日本で英語を勉強している人の間で、老若男女に最も受けられている英語技能試験はTOEICではないでしょうか?
今現在の自分の英語力を客観的に計る目的もあれば、大学生なら就職活動の自己アピールの為、社会人なら昇進やプロジェクト参加の為など、様々なシーンで使われています。
では、留学を考えている、または既に留学していて進学を考えている学生にとって、TOEICはどのように使われるのでしょうか?
結論から言ってしまうと、こと留学に関しては、TOEICは一切必要ありません、というか使えません。
この章では、何故留学の場合には、TOEICが全く必要ないかの理由がはっきり分かります。無駄な時間を使わず、すぐにIELTSかTOEFLに取り組みましょう!
知っているようで知らない?そもそもTOEICとは?
まず初めに、そもそもTOEICとは何かについて簡単にクリアにしておきましょう。
- 正式名称:Test of English for International Communication
- 主催者:アメリカのETS (Educational Testing Service)
- 国内運営元:IiBC(一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)
- 目的:英語のコミュニケーション能力を計る
- 受験者数:約160ヵ国、700万人と推計
- 国内受験者数:公開・非公開合わせ2018年は約245万人、2019年は約220万人(IiBC資料より)
- 種類:従来は読む・聴くのパターンが最もポピュラー(満点は495点ずつの合計990点)だが、最近は書く・話すも選択可能
これを簡潔に表現するなら、主に英語を母国語としない世界の人を対象に、160ヵ国もの国で700万人程の受験者がいる中、日本の受験者数は200万人を大きく超えており、全体のおよそ35%位は日本人が占めるという感じですね。
よく指摘されるように、TOEICは世界でも日本人ばかりが受けていると聞くが本当なのか?という問題については、このおそらく35%前後であろう日本人の割合を多いと取るか少ないと取るかによって異なるでしょう。
では、この全体の35%は日本人が受けているテストであるTOEICが、留学の可否に全く関係ないという理由について、次項に続けたいと思います。
長期留学の場合
まず、英語ネイティブの学生と一緒に、本流である大学のメインストリームに進むには英語力が足りない留学生の為の選択肢である、コミュニティーカレッジや、大学のファウンデーションコースから見てみます。
残念ながら、これら学校・コースの入学審査において、TOEICでは受け付けてくれません。
この最も英語力のハードルが低いコミュニティーカレッジやファウンデーションコースでもそうなのですから、より難しい大学のメインストリームである本科の学部、更に上の各種大学院はどうかと言うと、もちろんTOEICでは受け付けてくれません。
こと長期留学に関しては、そもそもTOEICは求められないし、評価の対象にならないという事です。
TOEICはやはり、どの位英語でコミュニケーションを取れるのかを計るテストなので、プレゼンスキルやエッセイや論文を仕上げる文章構成能力も含まれていませんし、アカデミックな能力を計れるテストという位置づけではありません。
では、どういったテストが必要かと言うと、外国人としてのアカデミックな能力も含めた総合的な英語力を計る為の、TOEFL iBTか、IELTS、国際バカロニア(IB)等が挙げられます。
内容的には書く・話すのスキルも必須になるので、難易度はTOEICよりも格段に上がります。
主にイギリス英語圏ではIELTS、アメリカではTOEFL iBT、国際バカロニアはどちらにも適用可能です。
必要な点数は、希望する大学によってそれぞれ異なります。
ちなみに英検は…?
おそらく、「では英検はTOEICのように長期留学先の大学入学の審査対象とはしてもらえないか?」という点も気になるでしょう。
TOEICからは離れますが、念の為情報を付け加えておくと、アメリカとオーストラリアに英検を資格として受け入れる、高校・大学留学の可能性があります。
それぞれ特徴がありますので、簡単にまとめます。
アメリカ
- 英検を認定する高校はとても少ない
- 英検を認定する大学は、準一級と一級なら幅広く存在している
- しかし、アイビーリーグの様な一流校はそのリストの中にはいない
オーストラリア
- 主要な州の公立高校はほぼ全て、入学資格として英検を認定している
- 私立高校でも認定している学校はあるが多くはない
- 大学に関しては、ほんの数校しか認定していない
アメリカでは、ほぼ高校留学に適用する事はできないけど、カレッジ・大学で認定している学校は多い。逆にオーストラリアは、ほぼ全ての公立高校留学に英検の資格を使えるけど、大学はほぼ認定していない。
そして、いずれの場合も世界中から希望者が殺到する一流校になればなるほど、英検を認定していない、という傾向が見られます。
短期留学の場合
では次に短期留学ですが、一週間程度の超短期からワーキングホリデーで1~2年滞在しながら通うスタイルまで、基本的には現地の語学学校に通う場合、TOEICはどう必要になるか?という点についてです。
こうした語学学校への入学申請でも、TOEICは一切必要ありません。
当然と言えば当然なのですが、語学学校では英語を学ぶ事自体が目的な訳ですから、基本的にその時点での英語力を問われる事はありませんね。
単に、最初に入れられるクラスのレベルが変わるだけです。
長期留学とは観点が全然異なりますが、短期留学のケースでもこうした理由でTOEICの点数は求められません。
むしろTOEIC対策コースもありますので、語学学校で「TOEICを勉強する」事は多々あるでしょう。
結論~留学にTOEICは一切必要ない~
TOEICのスコアが何点あれば留学できるのか?というタイトルの質問への答えは、全然いらないでした。
理由をまとめると、以下の通りです。
- TOEICだけでは、海外の長期留学先の大学に審査してすらもらえない
- TOEICは、アカデミックなTOEFL iBT、IELTS、IBの代わりになれない
- 短期留学は英語を学ぶ機会であり、その時点での英語力は問われない
留学に対してはTOEICは無意味に近いですが、特に日本国内において、TOEICの基本情報でも触れた通り、就職活動や社内での昇進などに広く使われているのが現状です。
目的によって必要になるテストは異なりますので、TOEICや英検を勉強する事が無駄だという訳ではありません。
あくまで留学には不要というだけです。