留学・海外就職に失敗しない5つの秘訣 ⑤【え?お客様って神様なの?】
英語の世界と繋がると「これは日本だけの価値観か!」というカルチャーショックを受ける事があります。
最も大きな違いの一つが、お客さんという立場の人がお店の人に対する態度です。英語で言うAttitudeです。
余りにも日常過ぎて、日本人の感覚が麻痺しているのか、それが当たり前だからおかしいと思わないのか分かりませんが、海外で20年暮らしている自分には帰国する度に目に余る場面が本当に多いのです。
この章では「お客様は神様じゃない!」と自分の常識を疑えるか?というテーマで、英語の世界に繋がる秘訣に関する一つの切り口を提示してみたいと思います。
お客様って神様なの?
海外で浸透している日本人は常に礼儀正しくニコニコしていて、真面目で勤勉というのが定番です。自分も日本人として概ねその通りだと思うし、そうありたいと思っています。
しかし、帰国して日数が経っていく毎に、その思いが揺らいできます。この人たちは本当に穏やかな礼儀正しい人達なのか?という疑問が湧いてくるからです。
あなたは、居酒屋で店員さんに「ビール三つー」って言ってる人が多いと感じませんか?「お願いしまーす!」が抜けてませんか?
ましてや、店員さんを「おーい!」って呼んだり、すっ飛んできた店員さんの顔も見ずに「灰皿!」って不機嫌に言い放ったり。
それってドラマの中だけの話かと思っていたら、何と目にする回数の多い事か…。
横柄なのはおじさんだけじゃ無いですよね?大学生くらいの若い客もいるし、身なりがオシャレで素敵な女性客もいます。
勢いがいいタイプの人だけでなく、ボソッと言っている人の言葉にもリスペクトはこもっていません。
「いらっしゃいませ」と明るく出迎えられているのに、何も言わずに入っていって用件だけ言い始める人も何と多い事か…。
挙句の果てには、コンビニの店員さんに土下座を強要した人もいませんでしたっけ?そんな事させる権利がどこにあるっていうんでしょう?まぁ、これは極端な例だと信じたいですが。
共通しているのは「自分はお客様だから神様だ」と思っている常識ですよね?
神様だから、料理を作ってくれるシェフや、料理を運んでくれるウエイティングスタッフなどの下々の民にはいかなる感謝もしなくていいのでしょうか?
お金さえ払えば神様になれて何を言っても許されるって、何だか下品な発想だと思うのって自分だけではないと思うのですが?
所変われば…
外国人の友達から日本人は本当に礼儀正しい親切な人が多いね、と褒められる度に嬉しく思う反面、自分は必ずしもそうは思わないけどねって心の中で思います。
それは、そうじゃない価値観や常識を知っているからです。
もちろん、世界中の国々の中には日本に近い常識の国もありますが、少なくとも自分の経験してきた範囲の中では、海外におけるお店の人とお客さんの立場は100%対等です。
お客さんは、自分が欲しいサービスや商品を受け取る事に対してサンキューと言い、お店の人はお金を貰う事にサンキューと言います。
なので、実際にレジでのやり取りを見ると分かるのですが、お客さんもお店の人もお金の受け渡し時にお互いにサンキューと言っているのです。
中にはブスってして態度の悪いイヤな奴もいますが、お店からも他のお客さんからも小声で、時には聞こえる様に”Bastard”とか”Dickhead”(意味は自分で調べてね)って言われてます。
つまり、日本人がいつもの常識で「お客様は神様モード」で来れば、全員がこの客と同じに見做されるという事です。
また、海外ではお店の人とお客さんという立ち位置こそありますが、根底にあるのは人間と人間の付き合いであるという事です。
これもある時気付いたのですが、日本人のサービスは「いらっしゃいませ」から「ありがとうございました」までは、笑顔で丁寧で完璧なのですが、その前後が無いのです。
お客さんとお店の人の枠を超えた、人と人のつきあいと言うか、具体的には”Hi, how are you?”という挨拶とか。
あなたは、ただ買い物したり、ご飯を食べるだけなのに、そんなのそもそも必要無いと思うでしょうか?
それともお店の人が何ていう名前か、ファッションのセンスがいいなとか、運動やってそうだなとか、学生さんかなとか、ただの店員Aではなく、一人の人間として認識しリスペクトできますか?
英語の世界に馴染めるか、それを楽しめるかにとって、この感覚はとても重要です。
結論~”What is your magic word?”~
日本でも田舎とかに行くとまだあるのかもしれませんし、常連さんにはそういう事もあるでしょう。
ですが、海外の日常で見られるような、初めて入った店でも挨拶を交わす所から始まるコミュニケーション、また接客の前後で交わされる何気ない雑談といったものが、日本では見られません。
ただお客さんとしてだけではなく、一人の個人として見ている、見られているという感覚を日本では感じられないのです。
もし、この感覚に共感してもらえる人は、海外暮らしが向いている資質の一つを持っていると考えられます。
では、一人の人間同士のコミュニケーションにするには何が必要でしょう?それは当然、お互いへのリスペクトです。
前項で例に挙げた「ビール三つー!」の様な横柄な注文にならない英語表現は何でしょう?もうあなたが知っている簡単な文章です。
“Can I get a 〇〇, please?”
“May I have a 〇〇, please?”
と、笑顔で使用すればいいだけです。
このpleaseは、現地の友人達の子育てとかの場面で見られる限り、躾においてとても重宝されています。
子供がおねだりしながら駄々をこねている時、両親はこう優しく諭します。
“What’s your magic word?“
子供は一言、伸ばし気味に答えます。
“Please.”
レジでの注文の場面でも、”Can I get a 〇〇?”とだけ言ったお客さんが、おっと忘れたといった感じで、”Please.”と付け加える事もよくあります。
このPleaseの大切さを感覚として感じられる人は、現地の生活に違和感なく入っていけて、皆に愛される存在になれると思います。
実は”Please”の意味は「もしよければ」である事や、英語での敬語の作り方を詳しく知りたい方は、こちらの章を是非!
コメント