ネイティブスピーカーが「?」と首を捻る”There is”の使い方とは?
中学校で習う基本的な英語表現の一つである”There is “や”There are “といったThere構文。
実は学校では教えてくれなかった大切なポイントがあります。
それは新しい情報に対して使用するという決まりです。
“There is a boy in the room.“は正しい英語です。
“A boy is in the room.“は誤っています。
この章では、上の例が正しく下の例は誤りである理由と共に、あなたがこれからThere構文を自信を持って使えるよう、その大切な秘訣を初級から上級まで3つ解説します。
なぜ日本人が使うThere構文にネイティブスピーカーが「?」という顔をするのか?その理由がよく分かると思います!
【初級編の秘訣】”A boy is in the room.“が誤りである理由
There構文は「そこに~がある」という意味を表す事から存在文とも呼ばれ、実はとても大切な役割があります。
それは「新しい情報を出すよ」という合図です。
何の事前情報も無いまま、いきなり”A boy is in the room.“と言われたら、それを聞いた相手はどう思うでしょうか?おそらくほとんどの人のリアクションはこうなるでしょう。
「え?男の子って何の事?」
そこで、これからの会話につなげるために、まずは新しい情報をThere構文によって提供するのです。
この情報によって、
“There is a boy in the room.”
「部屋に男の子が一人いるんだけどね」
“The boy must be a son of Fred. I have seen him somewhere before.”
「あの子はフレッドの息子に間違いない。前にどこかで見た事がある」
こうして二人の間で同じ”The boy“が共有された上で、以降の会話を継続できます。
【There構文の初級編の秘訣】は、「何かが存在している」という新しい情報を提供する表現であると理解する事です。
ちなみに”a”や”the”の冠詞について別に解説した章があります。お時間があれば是非!
余談ですが、「”of”を使った名詞には”the”を伴う」という別なルールが適用された場合、その会話の中での新しい情報であれば”the”でも問題ありません。
“There is the conflict of religion between those countries.”
(それらの国の間では、宗教対立がある)
【中級編の秘訣】There構文の文型を理解する(be動詞編)
中学校で習いましたが、英語の文型は以下の要素から成り立ちます。
- S(主語)
- V(動詞)
- O(目的語)
- C(補語)
例えば”I like dogs.“なら、SVOという文型でした。
では、There構文はどういう文型からなっているのでしょう?
”There is a boy in the room.“の例文では、”is”がV(動詞)で”a boy”がS(主語)です。
日本語でいう倒置法に相当するわけです。
分解してみると、”There”は存在を表しますよという記号のようなもので、SVOCの何でもありません。
強いて言えばC(補語)に相当する”in the room.”の代理です。
ですので、「There + V + S + C」です。
There構文では、この「主語がその場所にある」という意味で使われるケースが最も多いですね。
そしてここが腑に落ちれば、次の大切な部分も理解が簡単です。
Sの主語が単数であればVのbe動詞は”is“になり、複数なら”are“になる。
例を挙げれば以下の通りです。
“There is a cup on the table.“
一つのカップがテーブルの上にあるのだから、単数形で”is”です。
“There are many people in the stadium.“
たくさんの人がスタジアムにいるので、複数形の”are”ですね。
そして同時に、以下の事も当然のように適用されますね。
過去形になれば”was”と”were”になるだけ
疑問形になれば”Is there~?”や”Are there~?”と入れ替えるだけ
“will”や”must”、”can”などの助動詞を併用する場合は、原形の”be”になるだけ
【There構文の中級編の秘訣】は、この文型を理解する事で、「単数・複数」や「現在・過去」、「肯定・疑問」、「助動詞の使用」を迷わなくなる点にあります。
ここからは中級編の若干の応用になりますが、以下のいくつかのパターンのように文型に意味を肉付けする事が可能です。あなたのThere構文の表現がさらに豊かになるよう紹介しておきます。
形容詞を伴うS(主語)
一つ目は、S(主語)の後ろに形容詞をつける表現です。
“There are two kinds of tickets available today. The one is regular and another is premium.”
「今日は2種類のチケットが発売されています。一つはレギュラーで、もう一つはプレミアムです」
この場合は形容詞の“available“が”tickets“を修飾していて、「手に入るチケット」という2語で1つの主語を形成しています。
つまり「There + are (V) + two kinds of tickets available (S) + today (C).」と文型そのものは変わっていません。
現在分子、過去分詞を伴うS(主語)
二つ目は、”~ing”という形の現在分子や、”take”であれば”taken”という形の過去分詞が後ろについてS(主語)を作る表現です。
“There are a lot of festivals coming this month.”
「今月はたくさんのフェスティバルが予定されている)」
“There is no time left for us.”
「私達にはもう時間が残されていない」
前者の例では、”coming“が”festivals“を修飾しており、「やってくるフェスティバル」という主語になっていますし、後者は”left“という”leave”(残す)の過去分詞を伴い「残された時間」という意味での主語になっていますね。
文型自体はやはり変わっていません。
不定詞を伴うS(主語)
もう一つが、S(主語)の後ろに「to不定詞」がくるパターンです。
“to”の後には動詞の原形がきて、「~するための」という意味を加える表現ですね。
“There is a large space to park cars in this play ground.”
「その遊び場には、車を駐車するための大きいスペースがある)」
この文型でのV(動詞)はあくまで”is“です。
「to+動詞の原形」が追加されていると言っても、その原型の動詞に惑わされてV(動詞)はどれだっけ?と迷わないようにしましょう。
「to不定詞」はS(主語)を修飾するためのものです。
【上級編の秘訣】be動詞以外の動詞を使う
There構文の特徴は、「There + V + S + C」の形が最も多いというものでした。意味的に「~がある」という場合にbe動詞を使う事が一般的ですが、一般動詞を使う例もあります。
最後に【上級編の秘訣】として紹介します。
以下は、be動詞の代わりによく使われる代表的な一般動詞です。
- exist
- remain
- seem
- arise
- happen
- come
- occur
- appear
例文を挙げると
“There exists a Japanese community in this suburb.”
「このサバ―ブ(郊外)には、日本人のコミュニティがある」
“There happened a traffic accident at the corner.“
「その角で交通事故が起きました」
この場合でも、S(主語)が単数なのか複数なのかによって、一般動詞に3単元の”s”が付くか付かないかなども決まりますので、整合性が取れるように気を付けます。
結論~There構文は新しい情報~
この章では、学校では習わなかったThere構文の意味について紹介しました。
【初級編の秘訣】「何かが存在している」という新しい情報を提供する表現であると理解する
【中級編の秘訣】「There + V + S + C」という」文型を理解する事で、「単数・複数」や「現在・過去」、「肯定・疑問」、「助動詞の使用」を迷わなくなる
【上級編の秘訣】be動詞以外にも一般動詞を用いた表現も作れる
まずは、新しい情報を提示するというThere構文の最も大切な役割を理解しましょう。
そして文法に迷ったら、文型の確認に戻りましょう。主語を確認する事で自動的に正しい答えが見えてきます!
他にも文法的な知識を明確にすれば、もっと自信を持って会話に活用できるのに!というストレスを解消する章がありますので、お時間があれば是非!