文脈理解に役立つ3つのルール
英語で物語を読むのにも、試験でのリーディング問題に取り組むのにも、知っていれば理解を簡単にするルールがあります。
そもそもルールとは、従わなくてはいけないと強制される為に存在しているのではなく、それを扱う人が曖昧さに惑わなくて済むように明確にしたものです。
ただルールに縛られるだけなのが前者であり、ルールを活用してリーディングをより簡単に出来るのが後者のアプローチです。
どちらを選べばいいかは言うまでも無いですね。
この章ではリーディングの理解に役立つ以下の3つのルールについて解説し、あなたがストーリーをより明確に理解するお手伝いをしたいと思います。
- クォーテーション
- 主語の確認
- イタリック体
クォーテーション、その種類と違い
まず一つ目の引用符ですが、シングルクォーテーションとダブルクォーテーションの二種類があります。「’」と「”」ですね。
はっきり言って、大きな違いはありません。どちらを使ってもいいですが、一度使ったらそれを使い続ける必要はあります。
ただ一つだけ意識しておきたい事は、イギリスではシングルが使われ、アメリカではダブルが使われる事が多いという事です。
ハリーポッターはイギリス英語なので、英文で物語を読むとキャラクター達の話す会話はシングルクォーテーションで区切られます。
クォーテーションで理解を容易に① ~セリフ~
最も多く使われるクォーテーションのルールは、誰かがこう言いましたよというセリフを表す時だと思われます。日本語で言う所の「 」の括りと同じです。
引用符無し:Ron shouted for Harry not to go alone.
引用符無し訳:ロンはハリーに一人で行くなと叫びました。
引用符有り:‘Harry! Don’t go alone!’ shouted Ron.
引用符有り訳:「ハリー!一人で行くな!」と、ロンは叫びました。
クォーテーションで理解を容易に② ~セリフの中にセリフ~
物語の中で、登場人物が「ある人が「何々」と言っていた」と説明する時、カギカッコが二ついる場合がありますよね。そういう時はシングルとダブルを両方用いる事があります。
Harry said to Hagrid that ‘Hermione asked Ron “You wanna help me to find my cat? She is missing” about an hour ago’.
「『私の猫を一緒に探してくれる?いなくなっちゃったの』と、一時間位前にハーマイオニーがロンにお願いしてた」とハリーがハグリッドに言いました。
クォーテーションで理解を容易に③ ~文章や誰かの言葉の引用~
他の文章から言葉を引用する場合や、第三者の言葉を引用する場合、ここからここまでがその引用部分ですよという意味で用います。
Ron told Harry about Dumbledore’s word as “It matters not what someone is born, but what they grow to be.”
ロンはハリーに「どう生まれたかより、どう育ったのかが大切なのじゃ」というダンブルドア先生の言葉を伝えました。
クォーテーションで理解を容易に④ ~皮肉~
③の引用と基本的には同じ事なのですが、自分では正しいと思っていない事を、「あの人はそう言ってたけどね」という皮肉を込めて言う事があります。
この場合の定番としてダブルクォーテーションを使う事が多く、文脈上で意味が逆だなと思ったら、皮肉の意味で使われていると推測できます。
Harry wondered if his “friend” Draco must have a bad idea.
ハリーは「友達」のドラコが何か悪さを考えているに違いないと疑いました。
リーディングではない余談ですが、スピーキング中、相手がそれぞれの手で指二本でピースを閉じた形を作り、クイックイッと二回折って伸ばす動作をしながら発言するのを見た事ありませんか?
あの動作は、正にこの皮肉を表しています。
閉じた指二本がダブルクォーテーションですね。自分はそう思ってないけど、そうらしいよという皮肉を、言いながら表しているのです。
クォーテーションで理解を容易に⑤ ~言葉の強調~
物語の中で、その言葉を強調したい時にクォーテーションを用いる事もあります。読者の側は、あぁこの言葉が大事なキーワードなんだなと分かります。
読解問題では、この強調の意味でクォーテーションが使われている場合は、この前後や関連部分に答えがある場合が多いでしょう。
Draco’s father also belonged to the ambitious “Slytherin” house.
ドラコの父親もまた、野心の高い「スリザリン」寮だったのじゃ。
クォーテーションで理解を容易に⑥ ~用語の定義~
最後は、ストーリーの中で何かしたの定義がなされる時にもクォーテーションが用いられます。この話の中では、こういうカテゴリーの人々や物などの事をこれからこう呼ぶね、という感じです。
読む側は、これからこの言葉が出てきたら定義された通りに理解すればいいのね、と共通理解が生まれます。
Hermione’s parents are called as “muggle” which is humanbeing with no magic ability.
ハーマイオニーの両親は、魔法を使えない人間である「マグル」と呼ばれるんだ。
主語の確認
これも単純に知っていれば問題ないのですが、意外と知られていないかもしれません。学校で習った記憶が無いのです。
それは先の例でも既に紹介済みなのですが、同じ例を使いましょう。
引用符有り:‘Harry! Don’t go alone!’ shouted Ron.
「ハリー!一人で行くな!」ロンは叫びました。
この shouted Ron の部分ですね。
これって、何か不自然じゃないですか?
通常、学校で習った【S+V+O】の文法に当てはめたら「ロンに叫んだ」という理解になりませんか?【V+O】の部分として。
でも、これで正しいんです。英語の物語では、クォーテーションのセリフの後で、誰が何したという順番は【動詞+主語】となるのがルールです。
知っていれば、何てこと無いですよね?でも知らないと主語が誰なのか混乱しちゃうと思うので、知っているあなたはスラスラ理解できるでしょう。
イタリック体
文字が斜めになっている形体を「イタリック体」と言いますよね?
英文中にイタリック体が出てきた時は、以下の3つのどれかの意味で使われていると思えば大丈夫です。是非このルールを利用して、英文が何を伝えようとしているのか汲み取って、理解する助けにして欲しいと思います。
外国の言葉
英語を話すその国において、外国のものである言葉をイタリック体で表します。
日本のモノは英語でそのまま表記すると、ほとんど斜めになるのではないでしょうか?
Japanese food is beautiful. I like okonomiyaki and takoyaki the most.
例えば翻訳も絡める場合は、クォーテーションと併用して説明します。
The French word merci means “Thank you”.
本、映画、美術作品などのタイトル
主に長編の小説や映画、美術作品、ミュージカル作品などのタイトルにイタリック体を使うというルールがあります。
短編の詩やエッセイ、本の各章などにはクォーテーションを使うという使い分けもあるようですが、あまり厳密では無いと思われます。
クォーテーションと同じ使い方
強調や引用など、クォーテーションを使用した用法をイタリック体でも同じ意味で使う事が出来ます。
特にどっちを使わなければいけないという、場面ごとのルールは無いようですが、ルールとしては一度使ったらずっと同じ一方を使うという事です。
結論~リーディングを簡単にするにはルールを活用!~
この章では、リーディングでつまずかない様にする為の以下の3つのルールを紹介してきました。
- クォーテーション
- 主語の確認
- イタリック体
これらは、物語や長文を読みやすくする為のヒントです。
ルールに基づいているので、ルールに従って推測すれば、それだけより文章の意図が伝わってくるので、是非活用して欲しいと思います!