英語の”somebody”を「大物」と意訳する柔軟性
「え?学校の教科書でも習ったけど?」
例文も無く、いきなり”somebody”の意味って知ってる?と聞かれたら、そう思うのではないでしょうか?
答えはおそらく、「誰か」ですね。
大丈夫、間違っていませんよ。更に例文がこうであれば鉄板で正解です。
“I think somebody knows what the food is.”
「きっと誰か、あの食べ物が何か知ってるはずだよ」
では、もう一つ例文を。さあ、何と訳しますか?
“He believes that he is somebody.“
「彼は、彼自身が誰かであると信じています」
??? 何かモヤモヤしますね。
なぜでしょう?明らかに「誰か」と訳すと変ですね。
この章では、単語の意味を何か一つに限定して覚えてしまうと不自由になる場合に、他に意味が無いか疑ってみる事の意義について解説します。
「意訳」という観点から理解が深める感じです!
Somebodyになる!
では、もう一つ例文を。下の文を訳すとどうなるでしょう?
“One day, I’m gonna be somebody!“
(Somebodyの代わりに”the pirate king”だったら、「海賊王に俺はなる!」ルフィですね。)
この場合は、「いつか、私は誰かになる!」ではなく、
「いつか、私は大物になる!」
が正解です。人かどの人物である誰か=大物という意味ですね。
最初の文章の訳も「彼は、彼自身が大物であると信じています。」だったら、しっくりきますよね。
“somebody”には、大物という意味もあるのです。
昔見たTVのオーディション番組で、ものすごくヘタクソな歌手志望の黒人少年が、案の定落とされた審査員に向かって、絶叫していたセリフが正にこれでした。
でも、どうですか?「誰か」と訳しても何かしっくりこず、自分の中で何となく勝手にというか、自動的に「大物」って訳していませんでしたか?
だって、その方がしっくりくるから…と自信無さそうに思ったかもしれませんが、意外とそういう柔軟性って大切だと思いますし、語学のスキルだと思います。
大袈裟かもしれませんが、『言語センスの高い人=語学の習得が早い人』は、そういう柔軟なタイプが多いと思います。
もう素直に何でも取り入れてしまって自分の引き出しを多く作り、多少「誰か」=「大物」がはっきり理解できていなくても、引き出しの中の「誰か」を応用して、「大物」って事でいいやって思える人です。
このセンスは天賦の才ではないと思っています。
素直に未知の言語に接し、どんどん吸収する事で自信を深めていく姿勢さえあれば、上達ってとても早くなります。
それについて発音をメインに詳しく解説した章があるので、もしよければ参照してみてくださいね。
日常会話の中での”Somebody”の応用とは?
この単語は頻出単語で、日常でもほぼ毎日使うレベルですよね。
その中で知っておいた方がいいのは、”somebody else“という形で使う表現でしょう。
意味は「他の誰か」「他に誰か」ですね。
まず「他の誰か」で使う場合は、以下のような場合が想定されます。
“This is not the song I wanted to sing. The same title, but somebody else’s.”
「これは私が歌いたい歌ではありません。同じタイトルですが、誰か他の歌手の歌ですよ。」
問題無いですね。次に「他に誰か」ですが、このまま疑問形で使われる事が多い表現です。
学校の授業で手を挙げる人がいない場合や、会議で他に意見を募る場合などに、問う感じです。
“Somebody else?“
“Any volunteer?“
という表現もよく使われますが、同じ意味です。
カタカナで書く所のボランティアの事ですね。「自発的に手を挙げて発言してくれる人はいないの?」って感じです。
知っているか知らないかだけで、全然違いますよね?
SomebodyとSomeoneやAnyoneとの違いは?
では、最後にシンプルな質問として、”Somebody“と”Someone“は同じ意味か?違う意味か?と疑問に思うかもしれませんので、それについて。
基本、両方同じ意味です。
「誰か」でも「大物」でもあります。
経験的には、話す時に区別はしませんが、アサインメントやレポートなど、フォーマルな文章に落とし込む時に、意識して”Someone”を使っていました。
留学生の英語の課題を添削してくれるStudent serviceという部署が学校に設置されており、ある日弥助が添削をお願いしたアサインメントで”someone”に直されて以来、そうしています。
では、次に”Anyone“ですが、以下のように習いましたよね。
- 疑問文や否定分で用いる場合は”Anyone”
- 肯定文では”Someone”
もちろんそういう文法に則った使われ方は多いと思いますが、一方で上で取り上げた”Someone else?”などは疑問文なのにそのまま使っていますし、これらについても余り意識した区別は無い理解でいます。
気になって英英辞書を調べてみましたが、何となく定義されているのは以下の通りです。
- 限定的な場所にいる人を対象に「誰か」と言っている場合は”Somebody”
- 不特定多数の中の「誰か」を表す場合は”Anyone“
- 教室という限られた空間にいる生徒には”Somebody?”
- 事故に遭った身内を抱えながら誰かに救急車を呼んで!という時などは「Anyone!」
うーん、実践経験上はあまり使い分けられている違いを感じられずピンと来ませんが、そういう定義もあるという事らしいです。
でも、やっぱり余り違わないと思います!気にしない!
結論~意訳の定義とは?~
本文の中で述べた通り、自分の引き出しにたくさんの表現や言葉を入れて、それらを自分の感覚や直感に合わせて柔軟に出し入れ出来るイメージって、語学を使っていく上ですごく大切な事だと思います。
最初に覚えたその単語の意味に固執することなく、文脈に合うなら、敢えて合う方の訳を採用しちゃう。これでいいのだと思います。
これが、いわゆる意訳というものなのでしょう。
文法的に正しい、辞書に載っている意味と整合している、もちろんそうした尊重は大切ですが、より自然な意味に成り得るのなら、意訳って自分自身の理解力と表現の幅を広げる役割を果たしてくれると思っています。
こういう意味が複数ある単語の使い分けについては、たくさん事例があります!
まず”address“という単語を海外では「住所」という名詞はもちろん、動詞としてよく使うのですが、意味が最低4つはあります。
また誰もが知っているはずの”interesting“には、なんと「裏の意味」があります!