英会話において、国の名前が通じなくて困った経験はありませんか?
英会話のコーチングをしていて生徒さんから感じることは、
・自分が知っているトピックだと、リスニングもスピーキングも実力を発揮できる
・不慣れなトピックだと、全くお手上げになる
当たり前のことかもしれませんが、この差が本当に大きいと感じます。
そして、全く同じ観点で当てはまることが、「国名」についてです。
英会話において、国名が出てくるトピックと言えば、以下のような場面が想定されます。
・海外旅行の話題
・話相手の出身国の話題
・留学の話題
・その時にタイムリーな国際時事関連の話題
・オリンピック・パラリンピックの話題
こうした会話をしている時に、その国の名前を聴きとれるか否か、発音が通じるか否かで、あたかも0か100かのような理解度の差が生じます。
この章では、なぜ国名を聞き取りにくいのか、また自分の英語が通じにくいのかについて、3つの明確な理由を解説します。
その3つをクリアしてしまえば、もう苦手意識はなくなりますよ!
日本語のカタカナ表記との大幅な乖離
理由の1つ目は、日本語のカタカナ表記と、実際の英単語に大幅な乖離がある場合です。
日本語には3つの文字がありますよね。
ひらがな、カタカナ、漢字です。
そして、カタカナを使うものは外来の言葉が当てはまります。
しかし日本の歴史の中で、外来とは言っても英語圏だけとは限りませんでした。
江戸幕府の頃から、スペインやポルトガルとの交易もあれば、オランダやドイツ、フランスなどからも、さまざまな言語上の影響を受けたことでしょう。
それらのものは、いわゆる和製英語として、日本人の英語ラーナーを困らせる要因の一つですね。
アルバイト、コップ、パン、カステラ、etc…
同様に、英語以外の語源などの理由で、和製英語になった国名も多いのです。
英単語としての国名と全然違うのですから、通じるわけもありませんね。
代表的なところでは、以下の通りです。
・ドイツ → Germany(ジャーマニー)
・オランダ → The Netherlands(Hollandという英語もあるので、勘のいい人には通じるでしょう)
・スイス → Switzerland(スィッツァランド)
・ギリシャ → Greece(グリース)
・イギリス → the United Kingdom(縮めてザ ユーケーと言う場合が多いですが、出身地としての話になるとイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドと旧名で言う人が多いですね)
・ベルギー → Belgium(ベルジュゥム)
・トルコ → Turkey(ターキー)
・インド → India(インディア)
・タイ → Thailand(タイランド)
・イタリア → Italy(イタリー)
発音が全然違う
2つ目の理由は、和製英語のカタカナ読みと、実際の英語の発音が全然違う場合です。
英単語のスペルとカタカナ表記を比べると、それ自体は似ているのですが、発音が本当に違うので厄介です。
これは、その国名が登場するトピックに慣れる、つまり場数を踏むことでしかクリアできないタイプかもしれませんが、それでも事前に知っていれば、いざという時に思い出すかもしれません。
では、代表的な国名を1つずつ挙げていきます。
Austria
「オーストリア」はヨーロッパの国ですが、似ている名前の国が他にもありますよね?
そうです、「オーストラリア」です。
地理的に行きやすい事で、日本人にはより馴染みがあると思うので「オーストレィ(↑)リア(↓)」の発音に引っ張られて、”Austria”の発音が難しくなっちゃうかもしれません。
アクセントの位置がポイントのタイプですが、どこを強く発音すればいいのでしょうか?
正解は「オー(↑)ストリィ(↓)ア」という感じで、初めの「オ―」にアクセントを置きます。
「13と30」のようにリスニングとスピーキングにおいて紛らわしく感じる数字の発音もありますが、やはりアクセントを置く場所がはっきり分けられていれば、絶対に誤解されません。
- 13…「サーティ(↑)ーン」
- 30…「サー(↑)ティ」
こちらで数字を英語で発音する苦手意識を払しょくできますよ!
ちなみにオーストリアの首都は「ウィーン」ですが、英語表記は”Vienna“です。
発音はアメリカでは確実に「ヴィエ(↑)ナ(↓)」なのですが、英国式だと「ィ」と「エ」の間にアクセントを置くような感じの発音も見受けられます。
その場合は「ヴィ(↑)ェナ(↓)」という感じに聞こえます。
更にちなみに、和製英語で「ウィーン」というのは、ドイツ語読みの”Wien“からきているようですね。
Bulgaria
このブログでは、英語の通じる発音ではリズムや拍が大切だという事をお伝えしています。
今回の「ブルガリア」も、日本語のカタカナそのままで発音してしまうと「タタタタタ」とフラットな5拍になってしまいます。
これが毎回罠になってしまうのですね。
英語の発音の最重要ポイントは抑揚をつけて、英語の拍で発音することです。
「ボゥゲェ(↑)リア」と真ん中の”ga”にアクセントを強く置き、「タータータタ」というリズムです。
牛の”Bull”を発音するように「ボゥ」とはじめて、アメリカ英語だと上記のように「ゲェ」という感じに、イギリス英語だとより「ガ」に近い感じになりますが、リズムは一緒です。
ちなみにブルガリアの首都は”Sofia“で、前に強くアクセントを置き「ソ(↑)フィア」という発音です。
Israel
日本のカタカナ英語に引っ張られてしまうパターンですね。
過去に弥助も全く通じずに「何で通じない⁉」ってなった経験があります。
正解の発音は「イ(↑)ズレイァ(↓)ル」です。
「ス」じゃなく「ズ」です。「ラエル」じゃなくて「レイァル」ですよ?
そりゃあ知らなければ通じません。
そして、アクセントも頭にあるので注意してください。
英語の発音の特徴として、発音記号通りでなくても通じますが、アクセントやイントネーションが違うと発音が合っていても通じにくいです。
通じる英語を話したいと思っている人にとって、目から鱗の理解になればと思います。
ちなみにイスラエルと言えばユダヤ人ですが、英語では”Jewish“「ジューイッシュ」です。
これも知らなければ絶対分からないですよね。
Mexico
一見簡単そうですが、アクセントの位置を間違うと面白い位通じません。
正しい発音は「メ(↑)キスィコゥ(↓)」です。
仮に「メキ(↑)スィコゥ」と真ん中にアクセントを置くと、本当にびっくりする位通じません。
これが、英語の発音においてはまず何よりも正しいアクセントの位置と抑揚を把握する事が必要であると、ブログ全体を通して言っている理由です。
弥助の実体験として、友達に絶対面白いから借りて観た方がいいと勧められた”The Mexican”というタイトルの映画が忘れられません。
レンタルビデオ屋の店員さんに何度も何度も「メキ(↑)シカン」と繰り返したのですが、本当に全く伝わらず…。
諦めてブラッド・ピットとジュリア・ロバーツの出ている映画と言ったところ、店員さんが「はいはいはい」という顔で言った衝撃の
「Oh, ダ・メ(↑)キスィカン”」
アクセントの位置がこれほど重要なのかを、まさに身をもって体験した出来事でした。
ちなみにメキシコの首都は「メキシコシティ」です。
この”Mexico City“もアクセントは前で、「メ(↑)キスィコゥ(↓) シティ」です。
“Mexico“も”The Mexican“も”Mexico City“も、アクセントは全て前ですからね!
昔の弥助と同じ轍を踏まないように気を付けてください!
Mongolia
なんと英語名では”Mongol”ではなく、”Mongolia“です。
英語正式名の”The Mongolian People’s Republic“を略して”Mongolia“と呼びます。
相撲でも「朝青龍、モンゴル出身」とアナウンスされる様に、日本語では「モンゴル」ですね。英語でも「モンゴル」って言っちゃいそうですが、この際しっかり覚えてしまいましょう。
“Mongolia“、「モンゴー(↑)リア(↓)」です。
頭にアクセントを置いて「モンゴル」と発音しても通じないと思います。
ちなみにモンゴルの首都は「ウランバートル」です。
発音は「ウ(↑)ラーンバタゥア(↑)」と初めの「ウ」を最も強く、最後にもう一回軽く上がる感じです。
かつての英語表記は”Ulan Bator”だったのですが、今では”Ulaanbaatar“と表記されます。
さらにちなみに、モンゴルの話題で英会話になった場合に、おそらく登場するであろう人物は誰でしょうか?
日本語で「チンギスハン」または「チンギスカン」と呼ばれるモンゴル帝国初代皇帝ですね。
まず彼の名前を何と呼べばいいでしょう?
正解は”Genghis Khan“です。
発音は「ジェ(↑)ンギスカー(↑)ン」という感じです。最後の「カー」に最も強くアクセントを置き、頭の「ジェ」も二番目に強く発音します。
そして彼のエピソードを英語で話したい時、必要になるであろうボキャブラリーも同時に覚えてしまう事を繰り返していると、飛躍的に語彙力があがります。
例えば、以下のような感じですね。
- The first Emperor of the Mongolian Enpire
「モンゴル帝国初代皇帝」
- descendant
「子孫」(発音は「ディセン(↑)ダントゥ(↓)」
- conquer
「征服する」(発音は「カォ(↑)ン(↓)カァ(↑)」)
- dynasty
「(中国の)王朝」(発音は「ダ(↑)イナスティ(↓)」)
弥助的には、このようにある特定のシーンで必要となるであろう英単語を連想しながら数珠つなぎに覚えていくボキャブラリービルディングの手法を、アソシエーションメソッドと呼んで重宝しています。
こちらの章で詳しく説明していますので、ボキャブラリーを増やしたいと切望しているあなたは是非!
Papua New Guinea
オーストラリアの北に位置する国で、略して”PNG“とも呼ばれる国が、パプアニューギニアです。
略す際は、そのまま「ピー・エン・ジー」と発音します。
弥助にも一人だけでしたがPNG出身の友達にGeorgeという奴がいました。歴代トップ5に入る優しい奴でした。
では、正しい英語の読みですが、
「パ(↑)プアニューギ(↑)ニー」となります。
一番最初の「パ」に最も強くアクセントを置き、一回下がって「ギ」も少し強めにアクセントを置きながら「ギニア」ではなく「ギニー」と発音します。
この「ギニー」がトリッキーなんですね。
日本語表記も「ギニア」ですし、スペルから読もうとしても「ギニア」と読んじゃう所なので、ここがムズイ所です。
でも一度覚えてしまえば、もう何てことないですよね!
Romania
この「ルーマニア」というカタカナ表記がまた曲者なわけです…。
さぁどう発音しましょう?実は、この”Romania“も英国式と、米国式で2種類の発音があります。
・英国式 ‐‐‐ ”r“の発音で始まり「ルゥメイ(↑)ニア(↓)」
・米国式 ‐‐‐ 同じく”r“の発音で「ロウメイ(↑)ニア(↓)」
気を付けるポイントは、頭の発音が「マニア」ではなく「メイニア」である事です。
発音のリズムもカタカナ読みの平坦な「タータタタ」ではなく、「タタ(↑)ータタ(↓)」と意識する必要があります。
ちなみにルーマニアの首都は”Bucharest“、ブカレストです。
発音自体は日本語読みに近いですが、頭を最も強く「ブ(↑)カレ(↓)スト」という感じです。
Ukraine
もうスペルからして「ウクライナ」じゃないなと分かりますよね?
英語の発音ではカタカナで表現するのが難しいのですが、
「ユークレィ(↑)ンヌ(↓)」という感じです。
やはり、「ユー」ではじまり、アクセントの位置が「レィ」にある所が難しいのかなと思われます。
日本人には難しくとも、英語の読み方を「フォニックス」というルールに従って習っているネイティブスピーカー達にとっては、特に難しくないのが実際のところです。
もし日本人もフォニックスを学べば、初見の単語でもサラッと読むことができるようになり、カタカナ和製英語の発音に違和感を感じるようになるでしょう。
フォニックスの重要な基礎の部分を、できるだけ詳しく分かりやすく解説しました。
また、発音のリズムは「タータターンタ」です。
始めの「ユーク」と「レィ」、「ンヌ」をそれぞれはっきり分ける感じだと練習し易いかもしれません。
ちなみにウクライナの首都は、日本語では「キエフ」と呼んでいますが、その表記と発音には歴史的に様々な国が介在し複雑らしかったのです。
そこでウクライナ人自身の手で決定された、公式な英語での表記と発音はこうですという発表があり、キャンペーンも行っているのでそれに沿って覚えましょう。
表記は”Kyiv“で、読み方は「キーヴ」です。
国名と併せて覚えておけば最強ですね。
Vietnam
アクセントの位置が「通じる発音の分かれ目」になることは、他にもたくさん例がありますので改めて言うまでもないでしょう。
カタカナで言うところの「ベトナム」も、その代表例の一つですね。
「ヴィーエ(t)ナ (↑) ーム」という感じです。
発音のポイントは、
・唇を合わせたところから始まる”B”の音ではなく、下唇を軽くかむところから始まる”V“で始めること
・「べ」ではなく「ヴィエ」になること
・”t“の音は、口だけその形を作って発音しないイメージです
・最大のポイントですが、アクセントを「ナ」に置くことです
・リズムは「タータター」という感じです
ベトナムの首都はホーチミン…の方が有名そうですが、「Hanoi(ハノイ)」です。
「ノ」にアクセントを置いて、「ハノ(↑)イ(↓)」と発音します。
カナダの首都がバンクーバーではなくオタワ、オーストラリアの首都がシドニーではなくキャンベラなどと同じパターンですね。
弥助の留学先に、ベトナム人の留学生が2人いたのですが、それぞれハノイ出身とホーチミン出身で、とっても仲が悪かったことを覚えています。
聞くと、ルーツもホーチミンは中国からの移民が多く、言語的にも文化的にも違いがたくさんあるそうです。
Japan?Japanese?
国名が通じにくい3つ目の理由は、名詞と形容詞を混同している場合です。
例えば日本の場合は、以下のように区別しますね。
・Japan ‐‐‐ 国名としての名詞
・Japanese ‐‐‐ 「日本の」という形容詞、または”The Japanese“で「日本人」という名詞
会話の中で、この名詞と形容詞をごちゃ混ぜにしてしまい、正しく使えていないと通じにくい英語になってしまうでしょう。
例えば以下のような混同です。
・名詞 <ー> 形容詞
・Germany <ー> German
・Spain <ー> Spanish
・France <ー> French
・China <ー> Chinese
・Chile <ー> Chilean
・The U.K. <ー> British
・Denmark <ー> Danish
・The Netherlands <ー> Dutch
・Greece <ー> Greek
・Finland <ー> Finn
・Norway <ー> Norwegian
JapanとJapaneseのように比較的分かりやすいものもありますが、後半の国々については初めて聞くような形容詞もあったのではないでしょうか?
単語はやはり使い込まないと定着しにくい面がありますので、できるだけ幅広いトピックで英会話の経験を積む事が、きっと急がば回れなのだと思います。
まとめ
英会話における、国名のリスニングとスピーキングが難しい理由を3つ説明しました。
1. 日本語のカタカナ表記と、実際の英単語に大幅な乖離がある場合
2. 和製英語のカタカナ読みと、実際の英語の発音が全然違う場合
3. 名詞と形容詞を混同している場合
2021年には、されましたが、これらの理由を理解して解決までできれば、さまざまな国のトピックを話す事が容易になるはずです。
コロナ禍の中でのオリンピック・パラリンピックの開催や、ミャンマーのクーデター、アフガニスタンのタリバン侵攻など、世界中ではさまざまな時事問題が起こり続けています。
特に海外で暮らしていると、そうした事象に対して「弥助はどう思う?」と必ず意見を聞かれます。
その際に自分の考えをスムースに言えるよう、国名そのものが分からない、通じないという状態は避けたいものです。
日本と海外との常識の違いは、まさにこの自分の意見を持っているかという点に集約されている面もあります。
真の国際人になりたいと思っている人は、ここの部分が必須です!