日本人の英語発音の弱点をネイティブスピーカーはどう感じているのか?
日本人にとって、英語の発音は依然としてハードルが高いようです。
きっと、間違ってはいけないと思う生真面目さや失敗を恐れる特徴から、出来るだけ正しく発音しようと努力しているからでしょう。
しかし実際のところ、会話相手であるネイティブスピーカー達は、日本人の発音をどう感じているのでしょう?
留学生活を終えたばかりの頃、弥助がネイティブスピーカーの友人に自分の発音について質問しました。
「ぶっちゃけ、どれ位通じてる?」
その衝撃の回答は
「60‐70%位かな」
自信もそれなりについていた時期でしたので、ショックだった半面、
「なんだ、60‐70%なのに、あれだけ意思疎通ができていたんだ!」
という気付きもありました。
その後、弥助自身の経験と友人達からのコメントをヒントに、日本人の英語発音の弱点を5つに絞りました。
- 語尾への母音の追加
- “R “と “L “の発音の区別
- “Th” の発音
- 子音同士
- 最小ペアの区別
この章では、ネイティブスピーカーが感じている日本人の発音の弱点を、ピンポイントで解決・克服するお手伝いができればと願います。
語尾への母音の追加
日本語の発音は全て「母音のみ」か「子音+母音」で出来ていますね。
つまり「アカサタナハマヤラワ」は全て「アの段」ですが、
母音のみ・・・“A”
子音+母音・・・“K+A”, “S+A”, “T+A”…
同様に「ウクスツヌフムユル」の「ウの段」であれば、
母音のみ・・・“U”
子音+母音・・・ “K+U”, “S+U”, “T+U”…
これが日本語の発音の基本です。
一方、英単語は子音で終わる単語もたくさんあるのは周知の事実です。
ネイティブスピーカーが日本人の英語の発音の問題として挙げる一つが、まさにここにあります。
子音で終わるはずの発音に母音が含まれる
例えば”night“と発音する場合、最後が子音でしかも省略される事の多い”t“で終わっているため、英語の発音では「ナイッ」のようになります。
挨拶で”Good night.“と言う時も「グッナイッ」と言っていますよね?
ネイティブスピーカーを忠実に真似しようとするタイプの日本人なら「グッナイッ」に順応するので問題ないのですが、カタカナ語のまま「グッド ナイト」まで言ってしまうと途端に通じなくなります。
実は、この『素直さ』の重要さについて解説したこちらの章から、発音が上達するタイプとしないタイプの違いが分かります!
“R “と “L “の発音の区別
日本人の最も苦手とされる発音の代表格ですが、やはりネイティブスピーカーにとって聞き取れない発音だそうです。
そもそも英語の”r”の発音は日本語に存在していないのですから、難しくて当たり前です。
人によっては、例えば自分の名前に「ら行」の文字が入っていると、時には”R”と表記・発音してみたり、またある時は”L”に変えたりしますが、初めからどちらでもいいわけではありません。発音が通じない原因を自ら作る事になります。
英語の”R”と”L”の音は全く異なりますので、初めからカタカナのら行で考える事をやめて、英語オンリーで取り組むようにしましょう。
これが発音を矯正する一番の近道です。
”R”を正しく発音できるようになるTipはこちらの章で詳しく解説しています!
ちなみに弥助自身の、RとLの言い間違いによる恥ずかしい経験談はこちらからですが、あまり笑わないでくださいね…。
“Th” の発音
もう一つの代表的な日本人の英語発音の弱点が“Th”の発音ですね。
濁る音も含めて舌を噛んで発音するこの音も日本語にありません。難しいはずです。
そしてやはりネイティブスピーカーには、日本人の英語を聴く上での障害になるそうです。慣れている外国人は察してくれるのですが、国際経験のあまりない英語だけしか話さない人には難しいと思います。
一番の理由は、ここも素直に出来る限り真似をして舌を噛んで発音する努力をすればよいのですが、楽な方へ逃げてしまい「サ」の音で代用しようとしている事です。
“think“「考える」が”、sink“「沈む」と別物になってしまう訳ですね。
他の言語を習得する際に、素直さというファクターは本当に大切なのです。
しかし、一つ逃げ道というか、Tipがあります。
実はアクセントとリズムさえあっていれば、「サ」ではなく”t”の音で代用すればより通じ易くなるのは事実で、どうしてもの場合は”t”で代用するようにアドバイスもしています。
“Th”が濁る場合は”d“で代用可能です。
このTipに関しては、こちらの3部構成の章で詳しく解説しています。
今のカタカナ発音を、どうすれば本物の英語の発音に近づけられるかの道筋を立てられますよ。
子音同士
英語の「子音+子音」という重なりは、日本語には存在しません。
この日本語にない英語の発音をカタカナ語でむりやり発音しようとすると、ネイティブスピーカーには通じにくくなってしまいます。
✕・・・子音同士の間に母音を挿入してしまう
例を挙げると”try“という単語は発音記号で見ても【trάɪ】です。
あえてカタカナで書くと「トュライ」という感じですね。
これをカタカタにしてしまって、“t“と”r“の間に母音が入る事により「to-ra-i」となります。
はっきりと「ト」と言い切ってしまった「トライ」となり、結果通じない発音になります。
小さな事かと思うかもしれませんが、本当にネイティブスピーカーにとっては「ト(to)」ではないので通じないのです。
しかもこうした子音クラスターは単語の先頭で約50種類、単語の終わりでは170種類ほど、単語の途中では数えきれないほどあるそうです。
それだけ通じない可能性が高いという事なので、しっかりと気を付けたい項目なのです。
違いが最小限の単語の区別
最後は、似ている単語を比べた場合に一文字しか違わない場合など、その違いが最小限の単語を聞き分けることです。
文章で説明しようとすると難しく感じますが、例えば以下のような場合です。
“warm”と“worm”
“saw”と“sew”
“bag”と“bug”
(これらの発音の仕方についてはこちらの章で詳しく説明しているので興味があれば是非!)
こうした最小限の見極めポイントしかないペアの単語は、やはり区別して発音されている事が少なく、ネイティブスピーカーにとっては難しいようです。
結論~この5つさえ克服すれば~
弥助のネイティブスピーカーの友人達が、日本人が英語を発音する時の弱点だと指摘した5つの項目をまとめてみました。もう一度おさらいしてみると
- 語尾への母音の追加
- “R “と “L “の発音の区別
- “Th” の発音
- 子音同士
- 最小ペアの区別
それぞれについて、思い当たったり腑に落ちた節があったのではないでしょうか?
いずれについても、正に自分の発音がネイティブスピーカーに通じない理由です。
しかし、逆に言えばこの5つを克服しさえすれば、遥かに通じる発音に改善できる訳です。
多少の時間をかけてでも、常にこの5つの項目を意識して練習する事が、結果的により短い期間での上達に繋がる事は間違いありません。
また、カタカナ発音を英語の発音に直していく方法として、こういう観点からも改善が可能です。
意外と知られていないので、他の日本人との差別化を図れますよ!